アクトヒブ(Hibワクチン)
乳幼児で問題となる感染症の1つとして細菌性髄膜炎があります。髄膜とは、脳や脊髄を包む膜のことであり、細菌性髄膜炎では細菌が原因となって髄膜に炎症が起こってしまいます。
これら細菌性髄膜炎はワクチンによって予防することが可能であり、このようなワクチンとしてアクトヒブが利用されています。
細菌性髄膜炎とは
細菌によって髄膜炎を発症することがありますが、この時の原因菌としてHib(ヒブ)が知られています。Hibの正式名称はインフルエンザ菌b型ですが、冬に流行するインフルエンザとは関係ありません。
生後2ヶ月を過ぎると母親から受け継いだ免疫力が低下するためにHib(ヒブ)に罹りやすくなります。特に2歳以下の子供が感染症を引き起こしやすくなります。
Hib(ヒブ)が体の中に入り込み、髄膜にまで達すると高熱、頭痛、嘔吐などの症状が表れます。そして、髄膜は脳や脊髄などの神経系を包んでいることから、髄膜に炎症が起こることで脳などの神経に重い障害を残すことがあります。
たとえ障害が残っていないように思えたとしても、年を追うごとに知的障害が目立つようになることもあります。
Hib(ヒブ)による髄膜炎の治療としては、抗菌薬が使用されます。ただし、抗菌薬が聞きにくい耐性菌の出現によって治療が難しくなっています。そのため、ワクチンを接種することで感染症への予防が重要になります。
このようなHibに対するワクチンとしてアクトヒブが知られており、アメリカではHib(ヒブ)ワクチンの導入によってHibによる髄膜炎の罹患率を100分の1に減らせることができたという報告があります。
アクトヒブの特徴
Hib(ヒブ)に対する感染予防効果をもつワクチンがアクトヒブであり、臨床試験でもHib全身感染症への高い予防作用が示されています。
ただし、Hib以外の細菌による感染症まではアクトヒブで防ぐことができません。細菌性髄膜炎では、Hibの他にも肺炎球菌が原因菌となることがあります。
細菌性髄膜炎のうち、Hibによるものが約6割りであり、肺炎球菌に由来するものが約2割とされています。そのため、細菌性髄膜炎の予防のためにはHibと肺炎球菌の両方に対して予防接種を行う必要があります。
ワクチン導入前では、日本で毎年約600人もの子供がHibによる細菌性髄膜炎を発症していたという報告がされています。この数を少なくするためには、ワクチンの接種が必要不可欠になります。
生後6ヶ月以降からHibへの感染が増えるため、生後2ヶ月目を過ぎた時からワクチンの接種を計画していく必要があります。
乳幼児の時は肺炎球菌やロタウイルスなど、多くのワクチンを接種することになります。そのため、ワクチンに関して早めにスケジュール管理を行わなければいけません。ちなみに、医師が認めた場合には、他のワクチン製剤と同時にアクトヒブを接種することができます。
このようにHibは乳幼児にとって重大な疾患を引き起こす病原菌ですが、これらHibによる感染症に対抗するために使用されるワクチンがアクトヒブです。
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