トビエース(フェソテロジン)の作用機序:過活動膀胱(OAB)治療薬
過活動膀胱(OAB)と言うと聞きなれない病名ですが、簡単に考えれば「頻尿」となります。つまり、トイレが近くなっている状態です。
ただし、過活動膀胱では単なる頻尿だけでなく、尿意切迫感(突然トイレに行きたくなり、我慢が難しい)や切迫性尿失禁(トイレまで我慢できずにもれてしまう)などの症状もあります。
このように、過活動膀胱(OAB)では「膀胱の活動が正常な人よりも活発になっている状態」というイメージができれば問題ありません。このような過活動膀胱を治療する薬がフェソテロジン(商品名:トビエース)です。
フェソテロジン(商品名:トビエース)の作用機序
排尿には副交感神経と呼ばれる神経系の働きが重要になりますが、この副交感神経が興奮することによって排尿が促進されるようになります。
そのため、「副交感神経興奮の逆の作用」をすれば過活動膀胱(OAB)による排尿を抑制し、治療することができると分かります。
その上で、副交感神経はアセチルコリンと呼ばれる物質によって興奮します。つまり、このアセチルコリンの働きを阻害することができれば、排尿を抑制することで過活動膀胱を治療することが出来ます。
「アセチルコリンが作用する受容体の阻害薬」を総称して抗コリン薬と呼びます。フェソテロジン(商品名:トビエース)は抗コリン作用によって、過活動膀胱を治療することができます。
フェソテロジン(商品名:トビエース)の特徴
体の中で代謝を受けることにより、薬の形が変わることでようやく作用を表すようになる薬をプロドラッグと呼びます。フェソテロジン(商品名:トビエース)はまさにプロドラッグであり、代謝酵素の働きによって形が変えられ、抗コリン作用を示す物質へと変換されます。
もともと、フェソテロジンがプロドラッグ化を施される前の薬としてトルテロジン(商品名:デトルシトール)が販売されていました。ただし、トルテロジンは薬を服用することによる個人差が大きい薬でもありました。
そこで、このトルテロジンをプロドラッグにすることによって個人差を少なくした薬がフェソテロジン(商品名:トビエース)になります。
個人差が大きいためにトルテロジン(商品名:デトルシトール)では4mgが最大容量でした。しかし、薬の服用による個人差を抑えたフェソテロジン(商品名:トビエース)では発売時に4mgに加えて8mgまで増量可能な薬だったのです。
このように、既に発売されているトルテロジン(商品名:デトルシトール)と呼ばれる薬をプロドラッグ化し、治療の幅を広くした薬がフェソテロジン(商品名:トビエース)です。
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