エビプロスタットの作用機序:前立腺肥大症治療薬
前立腺は膀胱の下にあり、尿道の周りを取り囲んでいる臓器です。前立腺は生殖器系に属する臓器であり、年を取ることで少しずつ肥大化していくことがあります。これを、前立腺肥大症といいます。前立腺肥大症を発症すると、尿のキレが悪くなります。いわゆる、排尿困難の状態です。
そこで、前立腺肥大症を治療するために使用される薬としてエビプロスタットがあります。エビプロスタットは植物製剤と呼ばれる種類の薬になります。
エビプロスタットの作用機序
前立腺が大きくなっているために、尿道が圧迫されて排尿困難に陥ってしまいます。そこで、前立腺に働きかけて炎症や腫れを抑えることができれば、前立腺肥大症による症状を改善できることが分かります。これにより、残尿感や頻尿を解消します。
前立腺肥大による症状の進行には、炎症の関与が示唆されています。そこで、これに着目した医薬品がエビプロスタットです。
前立腺が肥大すると、尿路がふさがってしまいます。その結果、膀胱が虚血状態(血の巡りが悪いこと)に陥ります。ここで排尿をすると、尿道が広がって再灌流(血液の循環が戻ること)が起こります。
これが繰り返されると、組織障害を引き起こす物質であるフリーラジカルが大量に生成されます。これによって膀胱の筋肉や神経が損傷されるため、炎症が起こると考えられています。エビプロスタットは抗炎症作用や抗酸化作用があるため、フリーラジカルなどによる損傷を軽減できます。
このような考えにより、前立腺肥大症による症状を和らげる薬がエビプロスタットです。
エビプロスタットの特徴
植物由来の成分を配合していることが、エビプロスタットの特徴です。1つの有効成分だけを配合した西洋薬ではなく、5つの植物由来の成分(オオウメガサソウ、ハコヤナギ、セイヨウオキナグサ、スギナ、小麦胚芽)を配合させた医薬品です。
作用が穏やかな薬であるため、前立腺肥大症の症状を劇的に改善させる作用はありません。その代わり、副作用も少ないことが知られています。このような性質から、エビプロスタットは前立腺肥大症の初期症状に用いられやすいです。
エビプロスタットには「エビプロスタットSG」と「エビプロスタットDB」があります。両者の違いは、有効成分の含量です。元々はエビプロスタットSGしかありませんでしたが、有効成分の含有量を2倍にしたエビプロスタットDBが発売されました。
このような特徴により、前立腺肥大症の中でも初期の軽い症状に対して作用し、残尿感や頻尿を軽減する植物製剤がエビプロスタットです。
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