アボルブ(デュタステリド)の作用機序:前立腺肥大症治療薬
尿のきれが悪かったり残尿感が残ってしまったりする病気として、前立腺肥大症があります。人によっては年を取るにつれて前立腺の細胞が増えていき、これによって前立腺が肥大してくるのです。
前立腺は尿道の周りを取り囲むように存在しているため、前立腺が肥大することによって尿が出にくくなってしまいます。
この前立腺肥大症を改善する薬としてデュタステリド(商品名:アボルブ)があります。なお、前立腺は男性にのみ存在する臓器であるため、前立腺肥大症が女性に起こることはありません。
男性ホルモンと前立腺肥大症
前立腺の肥大は男性ホルモンと大きな関係があります。男性ホルモンが前立腺に作用することによって、前立腺が肥大していきます。これが前立腺肥大症の発症に繋がっていきます。
男性ホルモンには様々な種類があり、その種類によって作用の強さが異なります。このような男性ホルモンの一つとしてテストステロンがあります。
そして、このテストステロンは5α-還元酵素と呼ばれる酵素によってジヒドロテストステロンという物質へと変換されます。このジヒドロテストステロンはテストステロンよりも作用が強く、前立腺に作用することでより効率的に前立腺を肥大させてしまいます。
つまり、この5α-還元酵素を阻害してしまえば、テストステロンからジヒドロテストステロンへと変換される過程を抑制することができます。
より作用の強いジヒドロテストステロンの産生を抑制できるため、5α-還元酵素阻害薬は前立腺肥大症の治療薬となります。
このように、5α-還元酵素を阻害することによって前立腺肥大症を治療する薬がデュタステリド(商品名:アボルブ)です。
デュタステリド(商品名:アボルブ)の特徴
デュタステリドは男性ホルモンであるテストステロンの作用までは抑制できませんが、より作用の強いジヒドロテストステロンの作用を抑えることができます。その結果、前立腺を小さくさせることができます。
臨床試験では、デュタステリドを0.5mg投与することによって「投与6ヶ月までのジヒドロテストステロンの濃度を89.7%減らした」ことが分かっています。2週間投与を続けることにより、ジヒドロテストステロンの濃度を速やかに下げることができます。
男性ホルモンの働きを弱くさせる作用機序からも想像できますが、デュタステリドの副作用としては勃起不全や性欲の減退、乳房障害(女性化乳房、乳房痛)などが主に知られています。
このように、男性ホルモンの働きを弱くすることで前立腺を縮小させ、前立腺肥大症を治療する薬がデュタステリド(商品名:アボルブ)です。
デュタステリドは日本初の5α-還元酵素阻害薬です。また、「テストステロンを阻害する」という従来の薬とは異なる作用機序であるため、副作用の軽減が期待されている薬でもあります。
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