ミニリンメルト(デスモプレシン)の作用機序:夜尿症治療薬
尿のコントロールができないことによって困る人は多いです。例えば、小さい子供がするおねしょがその代表です。おねしょを難しい言葉で表現すると、夜尿症といいます。夜尿症があると、修学旅行などで大変な思いをします。
また、中には脳の機能に異常があるために、尿の量が多すぎる方がいます。これを中枢性尿崩症といいます。
そこで、これら夜尿症や尿崩症を治療するために使用される薬としてデスモプレシン(商品名:ミニリンメルト)があります。デスモプレシンはバソプレシンV2受容体刺激薬と呼ばれる種類の薬になります。
デスモプレシン(商品名:ミニリンメルト)の作用機序
尿量が多くなるには、腎臓の働きが大きく関わっています。腎臓が尿を作る器官だからです。
腎臓で最初の尿が作られると、尿管を通って膀胱まで移動します。このとき、最初の尿にはアミノ酸や糖などの栄養が含まれています。これらの栄養まで一緒に排泄するのは都合が悪いため、膀胱に到達するまでにこれらの栄養素は血管内へと吸収されます。これを再吸収と呼びます。
水分も同じであり、最初に作られる尿の水分量は多く、そのまま排泄されると体内の水分がすぐになくなってしまいます。そこで、尿管で水分を再吸収します。水が再吸収されるため、尿に老廃物を凝縮させることができるのです。このとき、「尿管での水分の再吸収」に重要な役割を果たすホルモンとしてバソプレシンがあります。
バソプレシンは脳から放出されます。ただ、何らかの原因でバソプレシンの放出量が少なくなると、水分の再吸収が不十分になります。その結果、大量の尿が出るようになります。これが尿崩症です。
そこで、バソプレシンと同じような作用をする物質を投与すれば、これらの症状を改善できることが分かります。このような考えによって開発された薬がデスモプレシン(商品名:ミニリンメルト)です。
尿管を細かく分けると、大きく4つの部位に分かれます。この中でも、水分の吸収に大きく関与している部位が集合管です。集合管には「水分の再吸収を促すスイッチ」が存在しており、このスイッチをバソプレシンV2受容体といいます。デスモプレシン(商品名:ミニリンメルト)はV2受容体を刺激する働きがあります。
このような作用機序により、水分の再吸収を促すことで尿量を減らす薬がデスモプレシン(商品名:ミニリンメルト)です。おねしょ(夜尿症)を起こす場合、デスモプレシンを投与すると、尿量が減るのでおねしょをする可能性は少なくなります。また、尿崩症の場合も同様に大量の尿を抑制できます。
デスモプレシン(商品名:ミニリンメルト)の特徴
舌の下に投与することにより、口から薬を吸収させます。薬を飲みこんでも効果がないため、デスモプレシン(商品名:ミニリンメルト)はあくまでも舌下から投与します。水なしで服用できる経口製剤です。
従来は鼻から投与する経鼻製剤が使用されていました。しかし、欧米では経口製剤よりも経鼻製剤の方が「低ナトリウム血症の副作用が多い」ことが報告されました。そのため、夜尿症に対しては経口製剤でしか使用できないようになっています。
これらの流れを受けて、日本でも経口でデスモプレシンを投与できる剤形が開発され、デスモプレシン(商品名:ミニリンメルト)が発売されるに至りました。
「経鼻製剤に比べて副作用が少なく」「正確に投与量を調節でき」「錠剤という剤形から、薬を確実に服用できるようになる」ことが期待されています。
このような特徴により、おねしょ(夜尿症)や中枢性尿崩症を治療するために使用される経口製剤がデスモプレシン(商品名:ミニリンメルト)です。
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