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役に立つ薬の情報~専門薬学

クレメジン(球形吸着炭)の作用機序:毒素吸着薬

 

腎臓の機能が長い間ずっと悪くなってしまう疾患として慢性腎不全があります。腎臓は尿として体の中の老廃物を外へ排出する作用があります。そのため、腎臓の機能が悪くなっている患者さんでは毒素が体の中へ溜まってしまいます。

 

そこで、体の中に毒素が溜まらないように調節する薬が必要となります。このような作用をする薬が球形吸着炭(商品名:クレメジン)です。

 

 毒素を吸着する薬
腎臓の機能が低下してしまうと、その分だけ体内の毒素を外に排泄できなくなってしまいます。これによって毒素が蓄積してしまうと尿毒症を発症してしまいます。

 

そこで、これらの毒素を何とかして体の中に溜めないようにしなければいけません。これを行う薬として経口吸着炭素製剤があります。いわゆる活性炭のことです。

 

活性炭は毒素を含む化学物質を吸着する作用があります。そこで、毒素が体内へ吸収される前に、これら活性炭によって毒素をあらかじめ吸着させてしまうのです。これによって、尿毒症を改善させることができます。

 

腸内細菌によって産生される毒素があれば、胆汁として腸内に分泌される毒素もあります。そこで、この毒素を腸の中で吸着することで便と一緒に排泄させるのです。

 

このように、活性炭による毒素吸着作用によって慢性腎不全の尿毒症症状を改善する薬が球形吸着炭(商品名:クレメジン)です。

 

なお、クレメジンはただ尿毒症の症状を抑えるだけでなく、一番の使用目的は人工透析の導入を遅らせる事にあります。つまり、腎不全の進行を遅らせる作用が期待されています。

 

 クレメジン(吸着炭素製剤)の作用機序

 

 

 球形吸着炭(商品名:クレメジン)の特徴
毒素を吸着するクレメジンですが、この薬の問題点として服用量が多いことが挙げられます。1つのカプセルに200mg含まれていますが、1日に6g(6,000mg)服用するために30カプセルも服用しなければいけません。

 

服用する薬の量がかなり多いため、きちんと服用を守れない方が多いという現状があります。実際に薬の使用調査を行った結果、約半数の患者さんは適切に薬を服用していない事が分かっています。

 

そこで、これら服用の問題を解決するために現在では細粒剤も開発されています。

 

なお、クレメジンは化学物質を吸着する薬です。例えば糖尿病や高血圧などの薬も同じように化学物質です。そのため、クレメジントと他の薬を一緒に服用した場合、活性炭に薬の有効成分が吸着されて効果が弱くなってしまう事があります。

 

これを避けるために、クレメジンは「毎食後」など他の薬と一緒に服用するのではなく、単独で服用する必要のある医薬品となります。

 

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