ワーファリン(ワルファリン)の作用機序:抗凝固薬
血管の中で血の塊が生成されることがあります。この血の塊を血栓と呼び、この血栓が脳の血管を詰まらせると脳梗塞となります。また、心臓の血管を詰まらせると心筋梗塞となります。
そこで、このような血栓の生成を防ぐために抗凝固薬と呼ばれる薬が使用されます。いわゆる血液をサラサラにする薬となりますが、血液を固まりにくくすることで血栓の生成を抑制します。
この抗凝固薬に関して、長年使用され続けられていた薬としてワルファリン(商品名:ワーファリン)があります。
血液の凝固反応
血液が固まる時、多くの因子が作用します。この時に働く因子を凝固因子と呼びます。この因子が複雑に絡み合うことによって血が固まっていきますが、この凝固因子はローマ数字を取って第Ⅲ因子や第Ⅹ因子などと表現されます。
例えば、傷を負って出血が起こった場合、血液を固めることで出血を止めなければいけません。この時の出血を止める機構として、今回紹介した凝固因子が関わっています。
ただし、この時の血液凝固系が良くない作用をもたらす場合もあります。
出血を止めたり傷の治癒に関与するだけなら良いですが、この時の血液凝固が血管内で起こってしまうことがあります。その結果、血管の中に血の塊が作られてしまいます。これが血栓の生成です。
そこで、抗凝固薬はこの血液凝固系に働きかけることによって、血液が固まる過程を抑制します。これによって、血栓の生成を抑えることができます。
ワルファリン(商品名:ワーファリン)の特徴と作用機序
血液が固まる時、血液凝固因子が大きく関与します。別に血液凝固に関わる因子を覚える必要はありませんが、このように多くの因子が関わっていることを認識できれば問題ありません。
これら血液凝固に関わる因子のうち、ビタミンKを必要とする凝固因子が存在します。この因子としては、凝固因子の中でもプロトロンビン(第Ⅱ因子)、第Ⅶ因子、第Ⅸ因子、第Ⅹ因子の4つがあります。
この4因子はビタミンKを必要とするため、ビタミンKを阻害することが出来れば、先に述べた4因子の生成も抑制されるはずです。
そして、ワルファリンはビタミンKを阻害する作用があります。ビタミンKを阻害するために凝固因子の生成が抑制され、結果として血液が固まりにくくなります。
このように、ビタミンKを阻害することにより、様々な凝固因子を抑制することで血液を固まりにくくする薬がワルファリン(商品名:ワーファリン)です。
ワルファリンは血液に対する強力な抗凝固作用があります。ただし、血液が固まりにくくなると言う事は、「出血リスクもある」という事を意味します。これが例えば脳出血などであれば、生命に関わることになります。
そこで、実際にワルファリンを使用するときは「定期的な血液検査」や「細かい用量調節」などを行い、薬の使用に際して細心の注意を払います。
また、ビタミンKを阻害する作用機序のため、ビタミンKを多く含む食品と一緒にワルファリンを服用すると、ワルファリンの作用が弱くなってしまいます。そのため、ビタミンKを多く含む商品として納豆や青汁などと一緒にワルファリンを服用してはいけません。
このように様々な制約がある薬ですが、長年使用されて使用経験が豊富であり、安価な薬でもあります。
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