リクシアナ(エドキサバン)の作用機序:抗凝固薬
出血したときなど、血液が固まることは重要です。出血が止まらなければ、体に障害を生じるからです。しかし、血管内で血が固まると、血栓(血の塊)が生成されます。これが脳に飛ぶと脳梗塞を引き起こし、死に至ります。
これを防ぐために使用される薬としてエドキサバン(商品名:リクシアナ)があります。エドキサバンは抗凝固薬に分類されます。さらにいえば、抗凝固薬の中でも、エドキサバンは第Ⅹa因子阻害薬と呼ばれる種類の薬になります。
抗凝固薬と心房細動の関係
抗凝固薬では、心房細動と呼ばれる不整脈と一緒に考えることが多いです。心房細動とは、心臓が小刻みに動くことで心拍数が異常に多くなってしまう病態を指します。たとえ心拍数が多かったとしても、一回の拍動が力強くないので血液を全身へと正常に送ることができません。
このような状態では、血の流れが滞ります。その結果、心房細動では大きな血栓が生成されやすい環境が整います。このときの血栓が脳血管や冠動脈(心臓に栄養を届ける血管)に飛ぶと致命傷になります。
そこで、心房細動の患者さんでは、抗凝固薬を投与することで血栓の生成を防止します。これが結果として、脳梗塞や心筋梗塞の発症防止に繋がります。
第Ⅹa因子阻害薬の作用機序
血液が固まる過程は複雑ですが、ここでは「第Ⅹa因子」と「フィブリン」の関係を理解できれば問題ありません。第Ⅹa因子とフィブリンは血液凝固に関わる因子です。
外傷によって出血したときや体の中での内出血など、血管が破れて血が出ると、血液は固まる(出血を止める)ように働きます。このとき、最終的にフィブリンと呼ばれる物質が作られます。フィブリンが血液を糊のように固めることで、ようやく出血が止まるのです。
これらフィブリンが生成されていく過程の中で、第Ⅹa因子と呼ばれる物質が関与しています。そこで、第Ⅹa因子を阻害すれば、結果としてフィブリンの生成を抑制できます。
前述の通り、フィブリンは血液を固まるときに重要な物質です。そのため、第Ⅹa因子の阻害により、血液凝固を抑制できるようになります。
このような考えにより、血液凝固に関わる物質の働きを阻害することにより、血栓の生成を防止する薬がエドキサバン(商品名:リクシアナ)です。
エドキサバン(商品名:リクシアナ)の特徴
手術を行った後など、ベッドで長期にわたって横たわっていると血液の流れが悪くなります。特に、下半身の手術では足を動かせないため、傷が治るまでは寝たきりの状態となります。血の巡りが悪いことから分かる通り、こうなると血栓を生成しやすくなります。
日常的に生じる小さい血栓であれば、自然に溶けます。しかし、血栓がある程度の大きさになっている場合、静脈を詰まらせてしまいます。これを、静脈血栓塞栓症といいます。
もともと、エドキサバン(商品名:リクシアナ)は心房細動患者の血栓防止のために開発された薬ではありません。静脈血栓塞栓症の治療薬として市場に出た薬です。下半身の整形手術の中でも、膝関節全置換術、股関節全置換術、股関節骨折手術の後に使用されていました。
これを、心房細動の患者さんにも使えるように適応拡大したのです。
なお、血液凝固を抑えるメカニズムから分かる通り、副作用としては「出血傾向」が知られています。特に、脳で出血が起こると危険であるため、副作用には十分注意しなければいけません。
このような特徴により、心房細動だけでなく手術後の血栓生成の防止にまで使用される薬がエドキサバン(商品名:リクシアナ)です。
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