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シアナマイド(シアナミド)の作用機序:アルコール依存症治療薬

 

アルコールは脳に作用することで気分を良くしたり、落ち着かせたりする作用があります。しかし、その量が多くなるとアルコール依存症としてお酒から離れられなくなることがあります。

 

そこで、アルコール依存症を治療する薬としてシアナミド(商品名:シアナマイド)が使用されます。シアナミドは抗酒薬(嫌酒薬)と呼ばれる種類の薬になります。

 

 シアナミド(商品名:シアナマイド)の作用機序
アルコール依存症患者では飲酒のコントロールができなくなり、がお酒を止めた場合は離脱症状が表れてしまいます。アルコールに対する強い切望感から何度も飲酒を繰り返してしまいます。

 

その結果として様々なトラブルを引き起こしますが、それでも飲酒を続けてしまいます。耐性も表れはじめ、飲酒量を増やさなければ対処できなくなります。精神疾患の一種であり、お酒に対する強い渇望が引き起こされます。

 

男性がアルコール依存症を発症するためには、習慣的な飲酒を開始して20~30年かかります。それに対して、女性はその半分の期間でアルコール依存症に陥ると考えられています。

 

アルコールが体内で代謝されるとき、「アルコール→アセトアルデヒド→酢酸」という経路をたどります。この時に生成されるアセトアルデヒドが悪酔いの原因として考えられており、アセトアルデヒドが蓄積することで二日酔いなどの症状が表れます。

 

 アルコールの代謝機構

 

この中でも、「アセトアルデヒド→酢酸」への変換に関わっている酵素としてアセトアルデヒド脱水素酵素があります。この酵素を阻害すればアセトアルデヒドの分解が抑制されるため、アルコールを摂取したときにアセトアルデヒドが蓄積されて気分を悪くさせることができます。

 

 シアナマイド(シアナミド)の作用機序:抗酒薬(嫌酒薬)

 

このような考えにより、アセトアルデヒド脱水素酵素を阻害する事でお酒を嫌いにさせる薬がシアナミド(商品名:シアナマイド)です。シアナミド服用中にお酒を飲むと、不快な症状を引き起こさせます。

 

 

 シアナミド(商品名:シアナマイド)の特徴
お酒を飲まなくても、少量のエタノールを含む食品であっても悪酔いを起こすことがあるため、シアナミド(商品名:シアナマイド)を服用中はお酒以外にもアルコールを含む食品に注意する必要があります。

 

このような作用機序であるため、シアナミドとアルコールを併用するとかなり苦しい目に合うことになります。臨床試験での有効率は76.2%であったことが分かっています。

 

ただし、あくまでもお酒を飲んだ時に苦しい気分にさせる薬であり、飲酒そのものを抑制する薬ではありません。薬を服用しなければ不快な気分なくお酒を飲むことができるため、継続して薬を使用しなければ十分な効果を得ることができません。

 

このような特徴により、飲酒時にアセトアルデヒドを蓄積させることで悪酔いを増強させる薬がシアナミド(商品名:シアナマイド)です。

 

治療後の飲酒に関しては、「断酒の継続」または「再び多量の飲酒を行う」の2パターンに分かれます。節酒として「酒の量をコントロールしながら飲酒量を少なくすること」は不可能であると考えられているため、治療後も断酒を継続することが重要になります。

 

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