コンサータ(メチルフェニデート)の作用機序:ADHD治療薬
特に子供において、不注意が多く落ち着きのない行動を繰り返してしまう疾患としてADHDがあります。ADHDは注意欠陥・多動性障害とも呼ばれます。
このADHDによる不注意や落ち着きのない状態を改善する薬としてメチルフェニデート(商品名:コンサータ)が使用されます。メチルフェニデートは中枢神経刺激剤と呼ばれる種類の薬になります。
メチルフェニデート(商品名:コンサータ)の作用機序
ADHDの主な症状としては、集中できず忘れ物が多い「不注意」、落ち着きがなくじっとしていられない「多動」、順番が待てず思ったらすぐに行動してしまう「衝動性」の3つがあります。
どのような行動が目立つかは人によって異なり、不注意が優位な子供がいれば、多動・衝動性が優位となる子供もいます。当然ならが、全ての症状が表れる場合もあります。
ADHDは学童期の3~7%の子供に見られるとも言われており、30人のクラスに1~2人いる計算になります。そのため、珍しい病気ではありません。
育て方やしつけが悪いのではなく、脳の神経伝達物質の不足によってADHDの症状が表れます。神経伝達物質にも様々な種類がありますが、その中でもドパミンやノルアドレナリンと呼ばれる物質がADHDに関与していると言われています。
脳の発達に偏りが生じることでドパミンやノルアドレナリンの量が不足すると、ADHDを発症してしまいます。そこで、脳内で働くドパミンやノルアドレナリンの量を増やすことができれば、ADHDの症状を抑えられることが分かります。
神経伝達物質が脳内に放出された後、余った神経伝達物質は細胞内に再び回収されるようになります。この時に細胞内への回収を行う輸送体をトランスポーターと呼びますが、この輸送体が働けば働くほど神経伝達物質の量が少なくなってしまいます。
そこで、トランスポーターを阻害することができれば、神経伝達物質の細胞内への取り込みを抑制できるためにドパミンやノルアドレナリンの量を増やすことができます。
より詳しく言うと、ドパミントランスポーターやノルアドレナリントランスポーターの働きを阻害することで、脳内で働くドパミンとノルアドレナリンの量を増やします。このような作用によってADHDを治療する薬がメチルフェニデート(商品名:コンサータ)です。
メチルフェニデート(商品名:コンサータ)の特徴
国内で初めてADHDに対する保険適応を取得した薬がメチルフェニデート(商品名:コンサータ)です。ADHDで問題となる不注意、多動、衝動性の全てを改善させることができます。
メチルフェニデート自体は半減期(薬の効果が持続する時間)が短いため、薬の効果を得るためには学校で昼に1人で子供が服用しなければいけませんでした。そのため、薬を適切に服用できないケースが多いという問題がありました。
そこで、メチルフェニデートをゆっくり溶け出させることで、少しずつ薬の効果が表れるようにした薬がコンサータです。徐放製剤とも呼ばれますが、薬の効果を長時間持続させることができます。これにより、朝食時などに親が見ている前で薬を服用し、昼の服用を回避することが可能になりました。
速やかに効果が表れ、服用後12時間効果が続くように設計されています。ドパミンやノルアドレナリンは脳の活動を高める作用があり、これによってADHDによる注意欠陥や多動の症状を抑えます。
このように、学校へ登校している時だけ薬の効果が表れ、ADHDの症状を抑える薬がメチルフェニデート(商品名:コンサータ)です。
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