ハルシオン(トリアゾラム)の作用機序:睡眠薬
日常生活を行う上で、睡眠は生活のかなりの部分を占めます。睡眠が不十分であると、不眠症として昼に眠たくなったり力を発揮できなかったりと悪影響が出てしまいます。
そこで、不眠症を改善するために薬を使用することがあります。この時に使用する薬としてトリアゾラム(商品名:ハルシオン)があります。睡眠薬の中でも、トリアゾラムはベンゾジアゼピン系薬と呼ばれる種類の薬になります。
ベンゾジアゼピン系薬の作用機序
私たちの脳は神経が興奮することによって情報が伝わっていきます。この時の神経興奮にはプラス(+)の電気が大きく関わっています。
神経を興奮するためのシグナルが作用し、プラスの電気が伝わることで情報が流れていきます。
情報を伝えていくプラスの電気があるという事は、情報を抑制しようとするマイナス(-)の電気も存在することになります。このマイナスの電気としてCl-があります。Cl-が作用することにより、シグナル興奮が抑制的に働きます。
そして、このCl-の流入に関わる受容体としてGABA受容体があります。この部分にシグナルが結合することにより、Cl-が流入するようになります。
それと同時に、GABA受容体が結合する部分にはベンゾジアゼピン受容体と呼ばれる部分も存在します。このベンゾジアゼピン受容体に作用することによっても、Cl-が流入してシグナル伝達を抑制します。
脳内のベンゾジアゼピン受容体が活性化され、Cl-が流入するようになると脳のシグナル伝達が抑えられます。脳の活動が抑制されるため、眠たくなります。このようにして眠りを引き起こす薬がベンゾジアゼピン系薬です。
このように、脳内のシグナル伝達を抑制することで眠りを引き起こす薬がトリアゾラム(商品名:ハルシオン)です。
トリアゾラム(商品名:ハルシオン)の特徴
不眠症にも種類があります。そのため、どの種類の不眠症を治療したいかによって使用する薬も異なってきます。不眠症の中でも、若い人に比較的多い不眠として入眠障害があります。
入眠障害とは、「床についてもなかなか眠れない状態」を指します。「寝つきが悪い」と表現されることもあります。床についても「日常的に1時間以上眠れない状態」が続くために苦痛を感じるようであれば、入眠障害であると考えます。
入眠障害では最初の眠りの部分だけに作用すれば良いことが分かります。そのため、「素早く眠気を起こさせ、その効果が消失する速度も速い薬」が望ましいです。薬の作用が長いと副作用も起こりやすくなるため、入眠障害では最初の導入部分だけに作用させます。
これら不眠症の中でも、入眠障害に使用する薬がトリアゾラム(商品名:ハルシオン)です。
トリアゾラムの半減期は約2.9時間であり、1時間程度で血液中の薬の濃度がピークに達します。このように、トリアゾラム(商品名:ハルシオン)は素早く作用してその消失速度も速い薬であることが分かります。
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