グランダキシン(トフィソパム)の作用機序:自律神経失調症治療薬
自律神経が乱れると、眠気やふらつき、口渇、めまい、吐き気、便秘、食欲不振などの症状が表れます。これらを発症すると、日常生活に支障をきたすようになります。これを、自律神経失調症といいます。
そこで、自律神経失調症を治療するために使用される薬としてトフィソパム(商品名:グランダキシン)があります。トフィソパムはベンゾジアゼピン系薬と呼ばれる種類の薬になります。
トフィソパム(商品名:グランダキシン)の作用機序
自律神経とは、運動時に働く「交感神経」と体を休めているときに働く「副交感神経」を合わせたものです。運動をしているとき、たくさん空気を取り入れるために気管支は拡張し、多くの血液を送るために心拍数は上昇します。大量の汗が出るようになり、相手をよく見るために瞳孔は散大します。これが、交感神経の働きです。
一方、食事中などの休息時では、逆の反応が起こります。気管支は収縮して心拍数は減少します。その代わり、胃や腸の動きが活発になります。これが、副交感神経の役割です。
自室神経失調症では、これら自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスが崩れています。その結果、先に挙げた眠気やふらつき、口渇、めまいなどの症状が表れるようになります。
自律神経失調症の出現は、交感神経や副交感神経による緊張の不均衡によって起こります。また、自律神経が過度に興奮することによっても生じます。これは、ストレスなどで緊張状態が続くことが原因であるとされています。恐怖や不安により、これが体に症状として表れるのです。
そこで、これらの神経の異常興奮を抑えることができれば、自律神経失調症の症状を軽減することに繋がります。これは、夜に眠たくなるときと同じように作用することで実現できます。
私たちが眠たくなるのは、夜になると「眠りを引き起こす物質」が放出されるからです。この物質がCl-であり、脳の電気信号をマイナスへ傾けることで脳機能を抑制します。言い変えれば、脳の神経系をCl-が抑えるのです。同じように、自律神経の異常興奮を抑制できれば、自律神経失調症を抑えることができます。
このCl-を放出するためのスイッチとして、ベンゾジアゼピン受容体が知られています。そこで、ベンゾジアゼピン受容体を刺激すれば、Cl-が放出されて神経系の働きを抑えれるようになります。これが結果として、不安を感じなくさせることに繋がり、神経系の緊張を緩和させます。
このような考えにより、神経機能の抑制に関わるスイッチを起動することで不安症状を軽減させ、自律神経失調症を改善する薬がトフィソパム(商品名:グランダキシン)です。
トフィソパム(商品名:グランダキシン)の特徴
極度の不安・緊張状態に陥ると、誰でも自律神経が乱れやすくなります。例えば、大舞台での発表などでは、何もしていないのに汗が出るようになり、心拍数は上昇します。ただ、普通の人であれば、これらの状況を乗り切った後は元の状態に戻ります。ただし、これらの症状が日常的に起こるようであると、自律神経失調症の疑いがあります。
トフィソパム(商品名:グランダキシン)には、脳の視床下部と呼ばれる部位に作用し、自律神経系の不均衡を是正する作用が知られています。神経興奮が抑制されれば、それだけ不安が軽減されて症状も表れにくくなります。
ベンゾジアゼピン系薬は睡眠薬などとして利用されることが多いですが、トフィソパム(商品名:グランダキシン)の場合は自律神経系へよく働きかけることが知られています。
これらの作用を有するため、トフィソパム(商品名:グランダキシン)は頭痛・頭重、劵怠感、心悸亢進などの自律神経症状に対して幅広く効果を示します。
このような特徴により、神経系に働きかけることで、自律神経失調症を治療するために使用される薬がトフィソパム(商品名:グランダキシン)です。
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