ロゼレム(ラメルテオン)の作用機序:睡眠薬
眠りは生活を行う上でとても重要となる要素です。この睡眠が狂ってしまうと、生活の質が著しく低下してしまいます。
そこで、なかなか睡眠が取れない場合は薬を使用することがあります。この時に使用される薬としてラメルテオン(商品名:ロゼレム)があります。
ラメルテオンは「体内時計に作用する」というユニークな作用を持った薬です。
体内時計とメラトニン:ラメルテオン(商品名:ロゼレム)の作用機序
多くの睡眠薬は急に使用を止めてしまうと、退薬症状として悪影響が出てしまいます。また、人によっては徐々に効果が薄れてしまうこともあります。
しかし、体内時計に作用する薬ではそのような心配がないとされています。そのため、それまで使用されていた睡眠薬とは概念が異なる薬になります。
多くの睡眠薬は脳の作用を抑えるように働きます。脳の機能が弱まるために眠くなります。多量のアルコールを摂取すると眠たくなりますが、これも同じように脳の機能が抑えられるのです。
それに対して、私たちの体の中には「夜になったから眠る」という体内時計による睡眠機構があります。これによって、自然な睡眠が可能になります。
ヨーロッパやアメリカなどへ海外旅行に行くと眠れなくなる人が多く表れます。これは、時差が大きいために体内時計が狂ってしまうためです。これを踏まえた上で、体内時計に作用することによっても睡眠を調節できます。
体内時計を調節するためにはホルモンが関わっており、このホルモンをメラトニンと呼びます。そのため、メラトニンに作用する薬は不眠症の治療薬となります。
朝に太陽の光を浴びると、メラトニンの分泌が抑制されます。その後、14から16時間後の夜になるとメラトニンが分泌され始めます。これによって、体温が下げるなど睡眠を行うための状態へと調節すると考えられています。
そしてこの時、このメラトニンと同じような作用をする薬を外から投与すれば、体内時計を調節することができると分かります。
メラトニンはメラトニン受容体に作用します。このメラトニン受容体にはMT1受容体(メラトニン受容体1型)とMT2受容体(メラトニン受容体2型)があります。
このメラトニン受容体として「MT1受容体とMT2受容体」を活性化する薬がラメルテオン(商品名:ロゼレム)です。これによって、体内時計を調節する作用を得ることができるようになります。
ラメルテオン(商品名:ロゼレム)の特徴
体内時計に作用するラメルテオンの特徴としては、「自然な眠り」となります。それまで使用されていた薬は脳の機能を抑制することによる眠りであり、自然な眠りではありません。
そこで、メラトニン受容体に作用することで体内時計を調節し、睡眠と覚醒のリズムを整えます。
このような作用機序のため、ラメルテオン(商品名:ロゼレム)の効果が表れるには時間がかかります。少なくとも、2週間を目安に薬の効果を判定しなければいけません。
それまでの睡眠薬は1日目から劇的な効果が表れる場合が多いです。これに比べると、そもそも作用機序が異なっており「徐々に効果が表れる」という違いがあります。
ただし、それまで使用されていた睡眠薬に比べると副作用が少なく、薬を止めた時に表れる「退薬症状」や薬の効果が弱くなってしまう「耐性」などが表れない薬と考えられています。このような特徴をもつ薬がラメルテオン(商品名:ロゼレム)です。
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