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レミケード（インフリキシマブ）の作用機序：生物学的製剤

 

炎症が関わる疾患として関節リウマチや潰瘍性大腸炎、クローン病など、いわゆる難病と呼ばれる病気があります。これらの病気は免疫の異常によって炎症が起こるとされています。

 

これら炎症が関わる病気の治療薬としてインフリキシマブ（商品名：レミケード）があります。インフリキシマブは生物学的製剤と呼ばれる種類の薬になります。

 

1つの薬が開発されることによってそれまでの治療法がガラッと変わってしまうことがありますが、まさにインフリキシマブの開発によって先に挙げた難病の治療が劇的に変わりました。

 

　インフリキシマブ（商品名：レミケード）の作用機序
炎症が起こることで関節リウマチや潰瘍性大腸炎などの病気を発症しているため、これらの病気を治療するためには炎症を鎮めれば良いことが分かります。

 

私たちの体に炎症が起こるのには免疫細胞が関係しており、免疫細胞が炎症を引き起こすためのシグナルを発しています。このシグナルとしてTNF-αと呼ばれる物質があります。TNF-αが作用がすることで、炎症が次々と引き起こされるようになります。

 

そこで、このTNF-αの作用を阻害してやります。すると、関節リウマチや潰瘍性大腸炎などで引き起こされていた炎症を止めることができます。このような考えによって創出された薬がインフリキシマブ（商品名：レミケード）です。インフリキシマブは抗体であり、TNF-αと結合してその働きを抑制します。

 

抗体と言うと細菌をやっつける時に働く抗体を思い浮かべます。ただこれらの抗体は細菌だけでなく、形を工夫することでTNF-αなど特定の物質を認識させることができます。

 

抗体であるインフリキシマブには3つの作用があります。

 

まず1つ目に「血液中を流れているTNF-αに結合し、その機能を無くす」という事があります。これにより、新たにTNF-αが作用できなくなるため、炎症反応がストップします。

 

2つ目に「受容体からTNF-αを引き剥がす」という作用を行います。既にTNF-αが受容体に結合していたとしても、インフリキシマブがTNF-αを受容体から解離させるために炎症反応を抑制することができます。

 

3つ目に「TNF-αを作り出す細胞を破壊する」という働きがあります。TNF-αがそれ以上作られなくなるため、さらに強力に炎症を止めることができます。

 

　

 

このような働きによって炎症による病気の症状を抑える薬がインフリキシマブ（商品名：レミケード）です。

 

 

　インフリキシマブ（商品名：レミケード）の特徴
インフリキシマブは抗体であり、大きい分子です。そのため、注射薬として直接体内に投与することでその効果を発揮します。

 

関節リウマチを治療する時、インフリキシマブなどの生物学的製剤は抗リウマチ薬に比べて劇的に症状を改善させることができます。潰瘍性大腸炎やクローン病など、インフリキシマブはそれまでほとんど治療薬がなかった領域で、これらの病気の症状を大幅に改善させることに成功した薬でもあります。

 

ただし、インフリキシマブにおいてTNF-αが結合する部分がマウス由来のタンパク質で構成されています。全てヒト由来で構成されている抗体ではないため、インフリキシマブはキメラ型モノクローナル抗体と呼ばれます。

 

全体の25%がマウス由来であり、この部分を免疫系が異物とみなしてアナフィラキシーなどのアレルギー反応が表れることがあります。

 

また、長い間使用し続けているとインフリキシマブに対する抗体（抗キメラ抗体）が形成されることもあります。インフリキシマブに対する抗体が作られると、インフリキシマブの効果が弱くなってしまいます。

 

このような点もありますが、それまで難病と呼ばれていた炎症性疾患を劇的に治療することに成功した薬がインフリキシマブ（商品名：レミケード）です。