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プラケニル(ヒドロキシクロロキン)の作用機序:エリテマトーデス

 

炎症が全身の複数の臓器にわたって起こる病気のことを膠原病(こうげんびょう)といいます。エリテマトーデスは膠原病の一つであり、特に関節や腎臓、粘膜、血管壁など全身に炎症が起こる原因不明の病気を全身性エリテマトーデス(SLE)といいます。

 

また、全身の臓器ではなく、皮膚だけに症状が表れることがあります。これを皮膚エリテマトーデスといいます。そこで、全身性エリテマトーデスや皮膚エリテマトーデス(円板状エリテマトーデス:DLE)を治療するために用いられる薬としてヒドロキシクロロキン(商品名:プラケニル)があります。

 

 ヒドロキシクロロキン(商品名:プラケニル)の作用機序
膠原病は自己免疫疾患の一つです。免疫は病原微生物の侵入を防ぐなど、感染症から立ち直るために必要不可欠な機構です。ただ、免疫機能が強すぎると体にとって悪い作用が起こります。

 

免疫は病原微生物を攻撃することで炎症を引き起こし、これ以上の感染拡大が起こらないようにしています。ただ、何らかの原因で免疫が自分自身を攻撃するようになることがあります。関節や臓器、粘膜などを免疫が認識することで、これらの器官で炎症が引き起こされるのです。これが、自己免疫疾患です。

 

そこで自己免疫疾患の症状を抑えるためには、免疫の暴走を食い止めれば良いことが分かります。免疫の働きすぎによって症状が表れているため、免疫機能を抑制するのです。

 

ヒドロキシクロロキン(商品名:プラケニル)について、詳しい作用機序は現時点で明らかにはなっていません。ただ、免疫が活性化するために必要な細胞同士の連絡を抑えているのではとされています。

 

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このような考えにより、免疫系に働きかけることによって、全身に起こっている炎症を食い止める薬がヒドロキシクロロキン(商品名:プラケニル)です。

 

 

 ヒドロキシクロロキン(商品名:プラケニル)の特徴
もともと、ヒドロキシクロロキン(商品名:プラケニル)はマラリアの治療薬として開発されました。ただ、現在では全身性エリテマトーデスや皮膚エリテマトーデスの治療にも用いられます。

 

全身性エリテマトーデスはあらゆる器官で炎症を生じることから、ドライアイや口の乾燥を招く「シェーグレン症候群」、筋肉の炎症によって筋力が衰える「多発性筋炎」などを二次的に生じることがあります。そのため、病気の症状を抑えることは重要です。

 

また、ヒドロキシクロロキン(商品名:プラケニル)は関節リウマチに使用されることもあります。関節リウマチは膠原病の一種であり、関節に炎症を生じる自己免疫疾患です。

 

ヒドロキシクロロキン(商品名:プラケニル)の副作用としては悪心・嘔吐、下痢などが知られています。ただ、副作用の少ない薬であることが特徴の一つだといえます。

 

かつては高用量で使用しており、このときは網膜障害(視覚障害)の副作用が問題とって製造中止になりました。ただ、適切な量を守れば網膜障害の可能性は低いことが分かっており、エリテマトーデスの治療薬として再び活用されるようになりました。

 

そのため、以前に関節炎やマラリアを治療していたときに比べて、現在のヒドロキシクロロキン(商品名:プラケニル)の投与量はかなり少なくなっています。ただ、副作用がゼロになったわけではないため、視力低下や見え方に変化が表れた場合は主治医に相談する必要があります。

 

なお、ヒドロキシクロロキン(商品名:プラケニル)は妊娠中であっても安全に使用できる薬として知られています。関節リウマチなど、膠原病の薬は妊娠中に使用できないものもありますが、ヒドロキシクロロキンの場合は医師と相談しながら適切に活用するようにしましょう。

 

このような特徴により、全身性エリテマトーデスや皮膚エリテマトーデスなどの膠原病を治療するために用いられる薬がヒドロキシクロロキン(商品名:プラケニル)です。

 

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