リマチル(ブシラミン)の作用機序:関節リウマチ治療薬
関節に炎症が続くことにより、手の指関節などが破壊されて変形してしまう病気として関節リウマチがあります。関節リウマチでは体内の免疫に異常が起こっており、自己免疫疾患と呼ばれます。
これら関節リウマチの治療薬としてブシラミン(商品名:リマチル)が使用されます。ブシラミンは抗リウマチ薬と呼ばれる種類の薬になります。
ブシラミン(商品名:リマチル)の作用機序
体に侵入してきた病原菌を退けるために免疫はとても重要です。しかし、私たちの免疫が全く問題のない無害な物質に対して反応することがあります。
花粉症がその一例であり、もともと植物の花粉は私たちにとって無害です。しかし、アレルギー性鼻炎の患者さんでは花粉に対して免疫が攻撃を仕掛けてしまいます。その結果、花粉を外に排出するためにくしゃみや鼻水、鼻閉(鼻づまり)などの症状が起こります。
この時、免疫が攻撃を仕掛ける対象が自分自身であると自己免疫疾患となります。
関節リウマチでは、免疫が自分を攻撃し始めて関節の滑膜に炎症が起こります。これによって滑膜細胞が増殖し、炎症が関節全体に拡がってしまいます。その結果、骨や軟骨の破壊が進行します。
そこで、免疫系の働きを薬によって抑えるのです。免疫の作用を弱めることができれば、関節に対する攻撃を抑制することで関節リウマチの進行を止めることができるようになります。このような作用によって関節リウマチを治療する薬がブシラミン(商品名:リマチル)です。
免疫細胞の中でも、ブシラミンには「炎症に関わるT細胞の増殖を抑制する作用」や「免疫の働きを抑えるサプレッサーT細胞の上昇」、「抗体産生に関与するB細胞の作用低下」などが報告されています。
細かい作用機序は不明ですが、このような働きによってブシラミン(商品名:リマチル)は関節リウマチを治療します。
ブシラミン(商品名:リマチル)の特徴
関節リウマチに対するブシラミン(商品名:リマチル)の作用は強力です。活発に炎症が起こっている関節リウマチの早期にブシラミンが有効であり、免疫異常のパラメーターを改善させることができます。臨床試験において、ブシラミンによる関節リウマチに対する中等度以上の改善率は46.5%となっています。
ブシラミンでは投与を開始して1~3ヶ月経過することで、ようやく薬の効果が表れはじめます。
関節破壊の進行を抑制する抗リウマチ薬は、どれも効果が表れるために数週間の時間が必要になります。これは、免疫細胞に作用して炎症を止め、さらには関節破壊に関わる複雑な経路を抑制しようとしているためです。
抗リウマチ薬は単に「痛みを止める」のような単純な機構ではなく、病気の進行そのものを止めようとしているために時間がかかってしまうのです。このような特徴によって関節リウマチを治療する薬がブシラミン(商品名:リマチル)です。
ブシラミンによる副作用の発生率ですが23.9%となっています。注意すべき副作用としては皮疹やタンパク尿があります。
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