カバサール(カベルゴリン)の作用機序:パーキンソン病治療薬
体が思うように動かなくなってしまう病気としてパーキンソン病があります。パーキンソン病では、手足がふるえたり筋肉の動きが固くなってしまったりします。
そこで、パーキンソン病の症状を改善する薬としてカベルゴリン(商品名:カバサール)があります。カベルゴリンはD2受容体刺激薬と呼ばれる種類の薬になります。
D2受容体刺激薬によるパーキンソン病の治療
体を動かすための指令は脳が出しています。そのため、脳内に異常が起こってしまうと、体の動きが悪くなってしまいます。
この時、体を動かすための指令として神経伝達物質が関わっています。この神経伝達物質の1つとしてドパミンがあり、パーキンソン病患者では脳内のドパミン量が少なくなっています。
ドパミンは受容体に作用することで、その効果を発揮します。ドパミンが作用する受容体としてD2受容体があります。D2受容体が刺激されることにより、体をスムーズに動かすことができます。
つまり、ドパミンと同じようにD2受容体を刺激する薬を投与すれば、脳内での情報伝達が改善されてパーキンソン病を治療できることが分かります。これが、D2受容体刺激薬の作用機序です。
このように、脳内のD2受容体を刺激する事でパーキンソン病の症状を改善する薬としてカベルゴリン(商品名:カバサール)があります。
カベルゴリン(商品名:カバサール)の特徴
パーキンソン病では脳内のドパミンが不足しているため、薬として外からドパミンを補う方法によってパーキンソン病の症状を改善することができます。しかし、「ドパミンは体内ですぐに分解されてしまう」という問題点もあります。
そこで、ドパミンと同じようにD2受容体を刺激するが、「体内で分解されにくい薬の創出」を考えます。この時に開発された薬がカベルゴリン(商品名:カバサール)です。
カベルゴリンの半減期は43時間であり、長い間体内に留まります。そのため、1日1回の投与によって持続的にパーキンソン病の症状を改善し続けることができます。
また、パーキンソン病以外にもカベルゴリンは高プロラクチン血症の患者さんにも使用されます。
プロラクチンは産後に母乳を出したり排卵を止めたりする働きがあります。しかし、産後でないにも関わらずプロラクチンが高値を示すことがあります。これにより、排卵障害や無月経などを引き起こしてしまいます。これが、高プロラクチン血症です。
プロラクチンはドパミンによって抑えられます。つまり、D2受容体が刺激されると高プロラクチン血症を改善することができます。
このように、D2受容体を刺激することにより、パーキンソン病や高プロラクチン血症の症状を改善する薬がカベルゴリン(商品名:カバサール)です。
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