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モービック（メロキシカム）の作用機序：消炎鎮痛剤

 

激しい痛みが発生すると、体を動かさずに静止しておくようになります。痛みは危険信号を伝えるためのシグナルであるため、体を壊さないために重要ですが、この時の痛みが強すぎると日々の生活が制限されます。

 

そこで、これらの痛みを取り除く薬としてメロキシカム（商品名：モービック）が使用されます。メロキシカムはNSAIDs（非ステロイド性抗炎症薬）と呼ばれる種類の薬になります。より詳しく言えば、COX-2選択的阻害薬です。

 

　メロキシカム（商品名：モービック）の作用機序
関節リウマチや腰痛症など、これらの疾患では炎症が起こっています。打撲後などでも炎症が発生しますが、これら炎症が起こることで痛みが誘発されます。これは単純に「痛み物質」が作られるために起こります。

 

そのため、「痛み物質」の働きを抑えることができれば、痛みを取り除くことができます。この「痛み物質」として、プロスタグランジン（PG）と呼ばれる物質が知られています。

 

プロスタグランジンは炎症部位で放出される物質の1つです。プロスタグランジンの量が炎症部位で増えることにより、痛みが誘発されます。そこで、プロスタグランジンの生成を抑えることで痛みを抑制します。

 

　

 

プロスタグランジンが作られるとき、酵素が大きく関わっています。この酵素をシクロオキシゲナーゼ（COX）と呼び、原料からプロスタグランジンを作り出します。

 

そこで、薬によってシクロオキシゲナーゼ（COX）を阻害します。その結果、プロスタグランジンの生成が抑えられ、炎症や痛みを鎮めることができます。

 

　

 

このような考えにより、炎症部位で痛みを引き起こすプロスタグランジンを阻害することで痛みを抑える薬がメロキシカム（商品名：モービック）です。

 

 

　メロキシカム（商品名：モービック）の特徴
解熱鎮痛剤を一般的にNSAIDs（非ステロイド性抗炎症薬）と呼びます。その中でも、メロキシカム（商品名：モービック）は炎症による痛みを抑える作用が知られています。1日1回の投与で消炎・鎮痛効果を発揮する薬です。

 

炎症や痛みを抑えるNSAIDsですが、その副作用として胃腸障害（胃潰瘍など）が知られています。これはプロスタグランジンを阻害する作用が関与しています。

 

プロスタグランジンは炎症や痛みに関わっていますが、同時に胃粘膜保護作用にも関与しています。そのため、NSAIDsによってシクロオキシゲナーゼ（COX）が阻害され、プロスタグランジン量が減少すると、胃粘膜のバリアー機能が失われてしまいます。これにより、潰瘍が起こります。

 

この時、シクロオキシゲナーゼ（COX）にはCOX-1とCOX-2という双子のようなものが存在します。ほぼ同じ機能をしていますが、それぞれ以下のような特徴を有しています。

 

　・COX-1：胃粘膜など、全身に分布している

 

　・COX-2：胃粘膜にほとんど存在せず、炎症が起こった時だけに出現する

 

このため、胃粘膜上に存在するCOX-1を阻害すると、胃腸障害が引き起こされると考えられています。それに対し、胃粘膜にほとんど存在しないCOX-2の阻害は、炎症時の痛みに対して有効であるとされています。

 

メロキシカム（商品名：モービック）はCOX-2選択的阻害薬であり、胃腸障害を大幅に軽減しつつも強力な抗炎症作用を有すことが分かっています。

 

このような特徴により、炎症や痛みを強力に抑え、NSAIDsで問題となる胃腸障害を回避した薬がメロキシカム（商品名：モービック）です。