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役に立つ薬の情報~専門薬学

ロカルトロール(カルシトリオール)の作用機序:骨粗しょう症治療薬

 

骨粗鬆症の治療薬としてビタミンDが重要になります。骨の構成成分としてカルシウムが有名ですが、カルシウム単独では腸からの吸収が悪いために骨の成分として利用されにくいです。

 

しかし、ここにビタミンDが作用することによって「腸からのカルシウム吸収」や「骨の形成」が促されるようになります。そこで、骨粗しょう症の治療では「このビタミンDを薬として外から補ってしまおう」と考えます。

 

このような作用をする薬の1つとしてカルシトリオール(商品名:ロカルトロール)があります。

 

 

 骨とビタミンDの意義
骨の形成にカルシウムが重要であることは有名です。しかし、前述の通り、栄養としてカルシウムを摂取したとしても、カルシウム単独では腸からの吸収が悪いです。カルシウムがそのまま腸を素通りして、便として排泄されるだけです。

 

この時、カルシウムの吸収を助ける栄養成分としてビタミンDがあります。カルシウムだけでは腸からの吸収が悪かったとしても、ビタミンDがカルシウムの吸収を助けてくれるのです。

 

このビタミンDですが、日光(紫外線)を浴びびたり肝臓や腎臓などで代謝を受けることで活性化されていきます。この時、カルシウムの吸収を助ける活性化されたビタミンDを活性型ビタミンD3と呼びます。

 

 活性型ビタミンD3の生成工程

 

活性型ビタミンD3が存在するから、腸からのカルシウム吸収が促されて骨の形成を助けます。そこで、この活性型ビタミンD3を薬として直接外から補ってしまえば、カルシウム異常による骨粗しょう症の治療薬となるはずです。

 

このような活性型ビタミンD3製剤としてカルシトリオール(商品名:ロカルトロール)があります。カルシトリオールを投与することにより、腸からのカルシウム吸収を促すことができます。

 

 活性型ビタミンD3製剤の作用機序

 

 

 カルシトリオール(商品名:ロカルトロール)の特徴
同じような活性型ビタミンD3製剤として、カルシトリオールの他にも、アルファカルシドール(商品名:アルファロール、ワンアルファ)という製品があります。何が違うかというと、「ビタミンDが活性化されている度合い」になります。

 

ビタミンDが紫外線による活性化を受けたあと、さらに肝臓と腎臓での代謝を受けなければいけません。これら2段階の代謝を受けたあとで、ようやくカルシウム吸収を助ける作用を得ることができるようになります。流れとしては、以下にようになります。

 

 紫外線による活性化 → 肝臓での活性化 → 腎臓での活性化 → 活性型ビタミンD3として作用

 

「腎臓での活性化」まで完了した構造の薬がアルファカルシドールです。そのため、アルファカルシドールが薬として作用するためには、さらに「肝臓による代謝」を受ける必要があります。

 

それに対して、カルシトリオール(商品名:ロカルトロール)は既に肝臓や腎臓での代謝まで済ませた「活性型ビタミンD3そのものの構造」となります。

 

このような違いからアルファカルシドールに比べて、カルシトリオール(商品名:ロカルトロール)は強力な作用を得ることができます。また、既に完全に活性化された形であるために、その分だけ作用時間は短くなっています。

 

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