フォサマック、ボナロン(アレンドロン酸)の作用機序:骨粗しょう症治療薬
骨折を起こすと日々の生活が制限されます。さらに、骨折は「寝たきり」原因の上位を占めています。そのため、骨折を予防することは寝たきりを防ぐことにも繋がります。
階段から落ちるなどの衝撃が加わると、誰でも骨折してしまいます。しかし、中には日常生活の動作で骨折してしまう人がいます。骨がスカスカになる骨粗しょう症では、普通に生活しているだけで骨折してしまう事もあります。
そこで、骨粗しょう症を防ぐことで骨折を予防するための薬が使用されます。この薬としてアレンドロン酸(商品名:フォサマック、ボナロン)があります。
骨粗しょう症治療薬の中でも、アレンドロン酸はビスホスホネート製剤(BP製剤)と呼ばれる種類の薬になります。
ビスホスホネート製剤(BP製剤)の作用機序
骨は「新しく作られる過程」と「壊される過程」を繰り返しています。つまり、骨は一度作られて終わりではなく、私たちが気づかない内に常に新しく生まれ変わっています。これを、専門用語で骨のリモデリングと呼びます。
骨が壊される過程を骨吸収と呼びます。骨のカルシウムが血液の中へと放出されて、骨が壊されていきます。そのため、「骨の成分が血液中へと吸収される」とイメージできれば良いです。
この時、骨が壊される過程である「骨吸収に関与している細胞」として破骨細胞があります。
破骨細胞が働くために骨が壊されていきます。それでは、この破骨細胞の働きを抑えてしまえば、「骨が壊される過程(骨吸収)」を抑制できるはずです。
このような概念のもと、破骨細胞の働きを強力に抑制する薬がアレンドロン酸(商品名:フォサマック、ボナロン)です。アレンドロン酸が破骨細胞に取り込まれた後、破骨細胞の働きを直接抑制します。
アレンドロン酸(商品名:フォサマック、ボナロン)を起床後に服用する理由
アレンドロン酸などのビスホスホネート製剤(BP製剤)の特徴として、「起床後にコップ一杯の水で服用する」という事があります。
この理由として、ビスホスホネート製剤(BP製剤)は他の物質の影響を受けやすい事にあります。食事など他の物質が存在すると、腸からの吸収が著しく落ちてしまうのです。
ビスホスホネート製剤(BP製剤)は水と一緒に服用しなければいけませんが、鉄分などのミネラルを多く含むミネラルウォーターと一緒に服用してもその効果が減弱してしまいます。ただの水と一緒に服用しなければいけません。
このような事から、胃の中に何も残っていない起床後に服用し、その後30分は飲食を避けるようにします。アレンドロン酸(商品名:フォサマック、ボナロン)はこのように特殊な服用方法をします。
臨床試験では、アレンドロン酸を投与する事によって3年間の骨粗しょう症患者の胸腰椎骨折をを47%減らし、大腿骨近位部の骨折は51%抑制した事が分かっています。
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