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ノルレボ(レボノルゲストレル)の作用機序:緊急避妊薬

 

通常、妊娠は喜ばしいものです。ただ、中には望まない妊娠をする方もいます。適切な避妊を行わないことにより、結果として妊娠へと繋がってしまうのです。

 

そこで、避妊を行わずに性交渉を行ったとき、緊急で妊娠を避けるために活用される薬としてレボノルゲストレル(商品名:ノルレボ)があります。レボノルゲストレルはプロゲステロン薬(黄体ホルモン薬)と呼ばれる種類の薬になります。

 

 

 レボノルゲストレル(商品名:ノルレボ)の作用機序
妊娠と女性ホルモンには、密接な関係があります。女性ホルモンが分泌されることで妊娠するための環境が整い、受精することができます。

 

なかなか妊娠できない状態を不妊症といいます。不妊症の治療では女性ホルモンを薬として投与するなど、女性ホルモンをコントロールすることで不妊状態を改善することができます。これと同じように、女性ホルモンを制御すれば妊娠もコントロールできます。

 

女性ホルモンは主にエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類に分かれます。この中でも、生理周期の後半で重要な働きをする物質がプロゲステロンです。

 

排卵が起こる直前では、LH(黄体形成ホルモン)と呼ばれるホルモンが大量に分泌されます。これを、専門用語でLHサージといいます。ただ、ここでプロゲステロン(黄体ホルモン)が投与されると、LHサージが抑えられます。その結果、排卵が起こらなったり、遅延させたりします。

 

排卵を生じなくなるため、受精することはありません。レボノルゲストレルはプロゲステロンと同じ作用を有しているため、上記のメカニズムで排卵を抑えます。

 

 

 

このような考えにより、排卵しないように調節することで妊娠(受精)を回避させる薬がレボノルゲストレル(商品名:ノルレボ)です。

 

 

 レボノルゲストレル(商品名:ノルレボ)の特徴
プロゲステロン(黄体ホルモン)として働くレボノルゲストレル(商品名:ノルレボ)には、他にも着床障害を起こさせる働きが知られています。受精卵が子宮壁に付着し、発育の準備を始めることを着床といいます。着床まで起こることで、妊娠が成立します。

 

自然条件下では、排卵後5~7日後に着床しやすい環境が作られます。ただ、レボノルゲストレル(商品名:ノルレボ)を投与すると、プロゲステロンの作用によって先ほどの「着床しやすい環境」が早期に作られます。

 

その結果、受精卵が到達するころには既に着床しにくい環境へと子宮内が変化しています。これが、レボノルゲストレル(商品名:ノルレボ)によって着床障害が起こる理由です。他にも、受精阻害作用によっても妊娠を抑えるともいわれています。

 

注意点としては、「性交渉の後、72時間以内に使用する」ことが挙げられます。日本での臨床試験では、72時間以内にレボノルゲストレル(商品名:ノルレボ)を服用した場合、妊娠阻止率は81.0%であったことが分かっています。

 

レボノルゲストレル(商品名:ノルレボ)による副作用としては、不正出血(月経以外のときに出血が起こること)が知られています。また、頭痛や悪心、けん怠感などの副作用もあります。

 

これらの副作用は、体内で働くプロゲステロンの濃度が一時的に高くなることによるものと考えられています。服用も一回ですむため、重い副作用に悩まされることはほとんどありません。

 

このような特徴により、排卵抑制や遅延、着床障害などを生じさせ、72時間以内に服用することで望まない妊娠を回避する薬がレボノルゲストレル(商品名:ノルレボ)です。

 

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