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役に立つ薬の情報~専門薬学

フスコデの作用機序:風邪薬

 

風邪をひいたとき、咳が出て呼吸が苦しくなったり、アレルギー症状などによって鼻水が止まらなくなったりします。この状態を放置しておくと、日々の生活に支障が出てしまいます。

 

そこで、これらの症状を抑えるために使用される薬としてフスコデがあります。フスコデはジヒドロコデイン、メチルエフェドリン、クロルフェニラミンという3つの有効成分を組み合わせた薬であり、主に風邪薬として利用されます。

 

 

 フスコデに含まれている有効成分
 ・ジヒドロコデインの作用機序
細菌やホコリなどの異物が侵入すると、のどがこれを感知します。このときのシグナルが脳に送られると、くしゃみをします。もっと詳しく言えば、脳の延髄に存在する咳中枢がのどの違和感を感知すると、咳が起こります。これにより、のどに詰まっている異物を外へ排出します。

 

咳中枢が刺激を受けるたびに咳を生じます。そこで、薬によって咳中枢に作用すれば、多少の刺激では咳が起こらなくなります。このような作用によって咳を抑える薬がジヒドロコデインです。咳を抑えるため、鎮咳薬(ちんがいやく)と呼ばれます。

 

ジヒドロコデインは麻薬性の鎮咳薬です。「麻薬性」という括りではありますが、医療用として使用される量では依存性を心配する必要はありません。そのため、副作用も少ないです。

 

 ・メチルエフェドリンの作用機序
風邪などによってのどに炎症が起こると、その分だけ気道は狭くなってしまいます。その結果、呼吸を行いにくくなるため、その分だけ咳き込みやすくなります。そこで、気管支を拡張させることができれば、呼吸をしやすくなります。

 

メチルエフェドリンは気管支を拡張させる作用を有しています。これは、興奮時に働く「アドレナリン」と同じ作用をエフェドリンが有しているためです。

 

運動時など、体が活発に動いているときは相手をよく見るために瞳孔は開き、力を出すために血管は収縮します。このとき、たくさんの空気を取り入れるために気管支は拡張します。このときに働く物質がアドレナリンです。

 

そこで、アドレナリンと同じように「気管支に作用することで、気道を広げる作用」を有する薬を投与すれば、風邪を引いたときにも同じように息がしやすくなります。このような考えにより、風邪のときに気道を広げるために投与される薬がメチルエフェドリンです。

 

 

 ・クロルフェニラミンの作用機序
細菌やウイルスが侵入してきたときはアレルギー反応が起こります。免疫がアレルギーを引き起こすことにより、病原微生物の働きを抑えることができます。例えば、アレルギーによって起こる鼻水やくしゃみは、細菌などを外に追い出すときに有効です。

 

ただ、アレルギー反応が強くなってしまうと、体に悪影響を及ぼします。そこで、アレルギーを抑えるために薬が使用されます。

 

免疫細胞からは「アレルギーを引き起こす物質」が放出されます。この「アレルギーを引き起こす物質」をヒスタミンといいます。そこで、ヒスタミンの作用を薬によって阻害してしまえば、アレルギー反応を抑えることができます。

 

 抗ヒスタミン薬の作用機序

 

ヒスタミンの働きを阻害することにより、アレルギー症状を抑制する薬がクロルフェニラミンです。ヒスタミンを阻害するため、抗ヒスタミン薬と呼ばれます。クロルフェニラミンは古くから使用されている薬であり、安全性が確立されています。

 

クロルフェニラミンを含め、抗ヒスタミン薬の有名な副作用として「眠気」が知られています。抗ヒスタミン薬の中でも、クロルフェニラミンによる眠気の副作用は特に強いです。ただ、小児の風邪であれば、眠気の副作用は好都合です。

 

これらの作用機序・特徴を有する3つの有効成分を組み合わせた薬がフスコデです。錠剤(フスコデ配合錠)やシロップ(フスコデシロップ)などの剤形を選ぶことができ、小児科で多用されます。

 

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