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役に立つ薬の情報~専門薬学

プロペシア(フィナステリド)の作用機序:男性型脱毛症(AGA)治療薬

 

いわゆる薄毛の状態であり、男性に見られる脱毛症状を男性型脱毛症(AGA)と呼びます。一般的な病気のように体に不調が表れることはありませんが、見た目を気にする方にとって脱毛症は深刻な症状です。

 

そこで、男性型脱毛症を治療する薬としてフィナステリド(商品名:プロペシア)が使用されます。フィナステリドは5α-還元酵素阻害薬と呼ばれる種類の薬になります。

 

 

 フィナステリド(商品名:プロペシア)の作用機序
脱毛には男性ホルモンが大きく関わっていると考えられています。女性でハゲ頭になることは稀ですが、男性では男性ホルモンの働きによって頭が薄くなる人が比較的多いです。

 

生え際が次第に後退していき、いわゆる「M字」となります。また、頭頂部の毛が薄くなって脱毛していくことでも症状が進行していきます。このような男性型脱毛症(AGA)には遺伝が大きく関わっているとされていますが、その詳細については不明のままです。

 

これら男性型脱毛症を引き起こす男性ホルモンの中でも、特にジヒドロテストステロン(DHT)の働きが脱毛に関与していると考えられています。

 

男性ホルモンとしてはテストステロンが有名ですが、テストステロンから合成されるホルモンとしてジヒドロテストステロンがあります。ジヒドロテストステロンの方が男性ホルモンとしての作用が強いため、この物質が合成されるほど脱毛を引き起こしやすくなります。

 

そのため、「テストステロン → ジヒドロテストステロン」の過程を抑えれば、男性ホルモンの働きを抑制できることができます。

 

この時に働く酵素として5α-還元酵素が存在します。つまり、5α-還元酵素を阻害することによってジヒドロテストステロンの生成を抑えると、男性型脱毛症を治療することができます。

 

 5α-還元酵素阻害薬:前立腺肥大症治療薬

 

このように5α-還元酵素を阻害し、脱毛症を引き起こすジヒドロテストステロンの産生を抑え、症状を治療していく薬がフィナステリド(商品名:プロペシア)です。

 

 

 フィナステリド(商品名:プロペシア)の特徴
男性ホルモンの作用を抑えることで脱毛症の進行を抑える薬がフィナステリド(商品名:プロペシア)です。臨床試験では90%の人に対して抜け毛進行抑制または改善効果が示されました。

 

男性型脱毛症は時間と共に進行していくため、脱毛の進行を止めるフィナステリドは効果が高いです。その作用機序から理論的には発毛を促す作用はありませんが、実際には薬を使用することで発毛が促されて長さや太さなどの「髪の質」まで改善することができます。

 

男性ホルモンの働きを弱くさせる作用機序からも想像できますが、フィナステリド(商品名:プロペシア)の副作用としては勃起不全や性欲の減退が知られています。

 

このような特徴により、男性ホルモンの働きを抑えることで男性型脱毛症(AGA)を治療する薬がフィナステリド(商品名:プロペシア)です。

 

なお、フィナステリドはもともと前立腺肥大症の治療薬として開発されていました。しかし、その後フィナステリドを投与することで脱毛症を改善できることが判明し、男性型脱毛症の治療薬として開発されるようになりました。

 

フィナステリドと同じように5α-還元酵素阻害薬としてデュタステリド(商品名:アボルブ)が使用されていますが、デュタステリドは前立腺肥大症の治療薬として利用されています。

 

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