フェルム(フマル酸第一鉄)の作用機序:貧血治療薬
赤血球が減ることにより、血液が薄くなっている状態が貧血です。貧血は女性に多い疾患であり、貧血を引き起こすとめまいや動悸・息切れなどの症状が表れます。
そこで、貧血状態を改善するために使用される薬としてフマル酸第一鉄(商品名:フェルム)があります。フマル酸第一鉄は鉄製剤と呼ばれる種類の薬になります。
フマル酸第一鉄(商品名:フェルム)
貧血には、血球成分を正常に作れなかったり、血液を作るために必要な成分が不足していたりと多くの要因があります。その中でも、貧血が起こる理由で特に多いものに「鉄分が不足している」というものがあります。栄養として必要な体内の金属元素が少なくなっているのです。
鉄と赤血球には大きな関わりがあります。より具体的に言うと、赤血球の成分であるヘモグロビンを作成するとき、鉄が必要不可欠なのです。赤血球の材料である鉄が少なくなるため、赤血球の合成が抑制されて貧血に陥ります。これを、鉄欠乏性貧血といいます。
女性の貧血も鉄欠乏性貧血が多く、これはダイエットなどによって食事から摂取する鉄分の量が少なかったり、月経などによって定期的な出血を伴ったりすることが原因であるとされています。
この状態を改善するには、単純に鉄分を薬として外から補えば良いことが分かります。鉄欠乏性貧血を治療するために鉄剤を使用する場合、注射薬と経口薬が使用されます。ただ、治療の基本は口から服用する経口薬です。
そこで、鉄製剤として外から鉄分を補い、経口投与によって鉄欠乏性貧血を治療する薬がフマル酸第一鉄(商品名:フェルム)です。体の中に蓄えられている貯蔵鉄を増やすことで病気を治療します。
フマル酸第一鉄(商品名:フェルム)の特徴
鉄製剤の中でも、フマル酸第一鉄(商品名:フェルム)は特殊なコーティングを施した製剤です。具体的には、ゆっくりと成分が溶け出すように設計した徐放性の顆粒にしています。
また、投与した鉄分が効率よく利用されるようにしています。1日1回の投与で貧血を治療することができます。
貧血治療に用いられる鉄製剤の副作用として、胃腸症状が知られています。これは、鉄製剤が胃などに作用するためです。フマル酸第一鉄(商品名:フェルム)のように徐放製剤にすると、胃腸症状の副作用を軽減することができます。
ただ、胃腸症状が完全になくなったわけではありません。そのため、主な副作用として嘔気・悪心(1.33%)、腹痛(0.82%)、嘔吐(0.46%)、食欲不振(0.41%)などが知られています。
このような特徴により、赤血球の産生に不可欠な鉄分を補うことによって、鉄欠乏性貧血を治療する薬がフマル酸第一鉄(商品名:フェルム)です。
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