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クロミッド(クロミフェン)の作用機序:不妊症治療薬

 

不妊症の原因はさまざまですが、その中の一つとして「排卵が正常に行われていない」ことがあります。卵巣から卵子が排出されることを排卵といいます。排卵されなければ、そもそも受精することはありません。

 

そこで、排卵障害(排卵しにくい体質)などによって、妊娠しにくい状態に陥っているときに使用される薬としてクロミフェン(商品名:クロミッド)があります。

 

 

 クロミフェン(商品名:クロミッド)の作用機序
排卵や妊娠など、女性機能に関わる重要な物質に女性ホルモンがあります。女性ホルモンにはさまざまな種類がありますが、その中でも最も重要な働きをする物質がエストロゲンです。つまり、エストロゲンの働きをコントロールすると、不妊症を改善できる可能性があります。

 

排卵は脳内に存在する視床下部という部分からスタートします。まず、視床下部からGn-RH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)という物質が放出されます。

 

この物質が視床下部の近くにある「下垂体」という部分に作用します。すると、今度はFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)という2つの物質が放出されます。この物質が卵巣を刺激すると、排卵が誘発されます。

 

排卵が正常に起こらないことで「無排卵症」に陥っている場合、排卵をするための伝達が正常に行われていません。そこで、排卵が誘発させるために「排卵のスタート地点である視床下部へ刺激を与える」ことを行うと、無排卵状態を改善できることが分かります。

 

前述の通り、排卵には女性ホルモンであるエストロゲンの働きが重要です。ただ、女性の中には、体内のエストロゲンが正常であるにも関わらず、自然な排卵を示さない方がいます。このようなとき、クロミフェン(商品名:クロミッド)を使用します。

 

クロミフェン(商品名:クロミッド)はごくわずかなエストロゲン作用を有しています。その作用は、エストラジオール(エストロゲンの一種)の2~3%であるとされています。

 

エストロゲンが作用するためには、専用のスイッチ(エストロゲン受容体)に結合する必要があります。ただ、クロミフェン(商品名:クロミッド)を投与すると、エストロゲンを押しのけて視床下部に存在するエストロゲン受容体に結合するようになります。

 

クロミフェンによるエストロゲン作用はほとんど無いに等しいため、視床下部は「エストロゲンが少なくなっている」と勘違いします。これにより、視床下部からGn-RH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)が放出されます。

 

その後、下垂体からFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)が放出され、これらが卵巣に作用することでエストロゲンの働きをコントロールしようとします。これが結果として、排卵を促すようになります。

 

 クロミッド(クロミフェン)の作用機序:不妊症治療薬

 

このような考えにより、「排卵の誘発に関わる最初の部分(視床下部)」へ作用することで、無排卵状態を改善させる薬がクロミフェン(商品名:クロミッド)です。

 

 

 クロミフェン(商品名:クロミッド)の特徴
視床下部へのエストロゲン作用を阻害することが、クロミフェン(商品名:クロミッド)の主な作用であると考えられています。視床下部へ働きかけることで、間接的な排卵誘発を行うのです。

 

同じように排卵を誘発する薬としては、シクロフェニル(商品名:セキソビッド)が知られています。ただ、シクロフェニルよりもクロミフェン(商品名:クロミッド)の方が強い作用を得ることができるため、クロミフェンが主に使用されます。

 

クロミフェン(商品名:クロミッド)を5日間投与することで、排卵を誘発させます。臨床試験では、無排卵性周期症(生理的な排卵がない症状)の方に対してクロミフェン(商品名:クロミッド)を使用したところ、有効率は75.0%であったことが報告されています。

 

ただ、クロミフェン(商品名:クロミッド)は、受精しやすいように促す「頚管粘液」の分泌を低下させることが知られています。また、長期服用によって子宮内膜が薄くなる傾向がみられます。さらに、排卵誘発を促すため、双子が生まれる確率も高くなります。

 

このような特徴により、無排卵状態に陥っているときに排卵を誘発させ、妊娠させやすくすることで不妊症を治療する薬がクロミフェン(商品名:クロミッド)です。

 

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