シナール(ビタミンC、パントテン酸)の作用機序:複合ビタミン剤
私たちは食事によって栄養を摂取しますが、中には食事からの栄養が不十分な方がいます。例えば、小腸に炎症が起きて十分に栄養を吸収できなかったり、妊産婦・授乳婦などであったりする場合がこれに該当します。
そのようなとき、栄養素の補給を考えます。このときに使用される薬としてビタミンC、パントテン酸(商品名:シナール)があります。シナールは2つの栄養素を配合させた薬であり、シミやソバカスを解消するために美容目的で使用されることもあります。
ビタミンC、パントテン酸(商品名:シナール)の作用機序
体にとって必須となる栄養素がビタミンです。このビタミンの一種としてビタミンC(別名:アスコルビン酸)があります。ビタミンCは副腎皮質ホルモンを生成するときに必須の物質です。また、ビタミンCはコラーゲンの生成にも関わっています。コラーゲンは皮膚や血管などの繊維として働きます。
さらに、ビタミンCには抗酸化作用があります。紫外線や活性酸素などによって、体が酸化されて傷害されるのを防ぐ働きをビタミンCが行います。これにより、シミやソバカスの原因となるメラニン生成を抑えます。
化粧品などの成分をみると、ビタミンCを配合していることがあります。これは、ビタミンCが他の物質の酸化を防ぐためであり、製品の品質を保たせるという目的があります。このようにビタミンCには、皮膚の状態を正常化したり、炎症後の色素沈着を防いだりする役割を担っています。
また、パントテン酸はビタミンB群の一種であり、別名でビタミンB5と呼ばれます。糖や脂質、タンパク質の代謝において、パントテン酸は必須となる物質です。
しかしながら、これら栄養素として重要なビタミンCやパントテン酸を十分に摂取できていない状態にある人がいます。このようなとき、ビタミンCとパントテン酸の両方を含んだ薬を投与すれば、症状を改善させることができます。
このような考えにより、食事からの栄養が足りていない人に対して、ビタミンCとパントテン酸を補うために投与される薬がビタミンC、パントテン酸(商品名:シナール)です。いわゆる、サプリメントと同じような働きをします。
ビタミンC、パントテン酸(商品名:シナール)の特徴
ビタミンC(アスコルビン酸)が単独で存在するよりも、パントテン酸を少量同時併用させれば、血液中のビタミンC濃度が高くなることが分かっています。そのため、2剤の併用は大きな意味があります。
ただ、ビタミンCは酸性で安定な物質です。一方、パントテン酸はアルカリ性の物質であるため、通常は2剤を同じ錠剤の中に配合させてはいけません。
これを解決するために錠剤を3層に分け、上と下の層にパントテン酸を入れ、中間層(上層と下層の間)にビタミンCを入れるようにしました。このように、両者のビタミンが直接接触するのを防ぎ、3層構造を有した薬がビタミンC、パントテン酸(商品名:シナール)です。なお、シナールの顆粒剤でも、有効成分を別々に分けて製剤化しています。
ちなみに、ビタミンCの「C」を取り、肌が白く「な~る(nal)」ということから、シナールという商品名が考え出されています。つまり、栄養補給という意味合いがあるものの、シミ・ソバカスを防ぎ、メラニン生成を抑えて美白にするという美容目的の側面も強い薬です。
このような特徴により、体内で必須となるビタミンを補い、炎症後の色素沈着を防いだりメラニン生成を抑制したりして、シミ・ソバカスを軽減する薬がビタミンC、パントテン酸(商品名:シナール)です。
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