グリチロン、強力ネオミノファーゲンシー(グリチルリチン酸)の作用機序
肝臓に炎症が続く「慢性肝炎」や肝臓の線維化が進んでしまう「肝硬変」など、これらの病気を発症すると肝臓の機能が弱ってしまいます。
そこで、これら肝機能の異常を改善させる薬としてグリチルリチン酸(商品名:グリチロン、強力ネオミノファーゲンシー)が使用されます。グリチルリチン酸はグリチルリチン製剤と呼ばれる種類の薬になります。
グリチルリチン酸(商品名:グリチロン、強力ネオミノファーゲンシー)の作用機序
漢方製剤に含まれる薬草として、甘草(かんぞう)と呼ばれる生薬が古くから使用されています。この甘草の中に含まれるグリチルリチン酸には解毒作用や抗アレルギー作用が知られており、1940年ごろには甘草から抽出されたグリチルリチン酸の効果が注目されていました。
グリチルリチン酸の詳しい作用機序は不明であり、抗アレルギー作用の他に肝機能を改善させる作用や抗ウイルス作用など、多彩な効果が知られています。
・抗アレルギー作用
炎症が起こるには、「炎症を引き起こす物質」の放出が必要になります。この物質を炎症性ケミカルメディエーターと呼びます。
グリチルリチン酸を投与することにより、炎症性ケミカルメディエーターの産生に関わる酵素が阻害されることが知られています。
・肝細胞障害抑制作用、肝細胞増殖促進作用
化学物質やウイルスなどによって肝臓が障害されると、肝機能が落ちてしまいます。この時は肝臓の障害を抑制し、肝細胞を修復させなければいけません。
試験管レベルの実験において、グリチルリチン酸は「肝細胞の障害抑制作用」や「肝細胞の増殖促進作用」を有していることが分かっています。
・ウイルス増殖抑制作用
グリチルリチン酸には免疫を調節する作用が知られています。マウスを用いた実験でも、肝炎マウスの生存期間を伸ばす作用が認められています。
また、ヘルペスウイルスなどの増殖を抑制し、不活性化させることが分かっています。
このような多くの作用により、病気を治療していく薬がグリチルリチン酸(商品名:グリチロン、強力ネオミノファーゲンシー)です。
グリチルリチン酸(商品名:グリチロン、強力ネオミノファーゲンシー)の特徴
甘草の主成分であるグリチルリチン酸により、「慢性肝疾患における肝機能異常の改善」や「湿疹・皮膚炎、小児ストロフルス、円形脱毛症、口内炎などのアレルギー・炎症疾患」に対して使用されます。
臨床試験では、慢性肝炎患者に対しては46.6%、湿疹・皮膚炎などのアレルギー疾患に対しては8割以上で改善効果が確認されています。
副作用はほとんどありませんが、主な副作用としてはカリウム値の低下、血圧上昇、腹痛などが知られています。また、低カリウム血症や血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫などの症状を引き起こす偽アルドステロン症を引き起こすことがあるため、このような場合には投与を中止します。
このような特徴により、肝機能保護のために使用したりアレルギー疾患を治療したりするために使用される薬が、グリチルリチン酸(商品名:グリチロン、強力ネオミノファーゲンシー)です。
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