オルメテック(オルメサルタン)の作用機序:高血圧治療薬
高血圧治療の目的として、「臓器障害の予防」があります。ただ血圧が高いだけなら良いですが、高血圧によって動脈硬化が進んでしまいます。その結果、脳や心臓の血管を詰まらせたり、腎臓の機能が悪化したりします。
これを予防するために薬が使用されます。この薬としてオルメサルタン(商品名:オルメテック)があります。オルメサルタンはアンジオテンシンⅡ受容体阻害薬(ARB)という種類の薬です。
アンジオテンシンⅡ受容体阻害薬(ARB)の作用機序
血圧が高くなるためには、血圧を上げる物質が関わっています。この物質をアンジオテンシンⅡと呼び、この物質が存在するために高血圧の状態が悪化してしまいます。
それでは、血圧上昇に関わるアンジオテンシンⅡの働きを阻害してしまえば、血圧を下げることができるはずです。
このアンジオテンシンⅡがどこに作用するかと言うと、受容体に作用します。この受容体をアンジオテンシンⅡ受容体と呼び、この受容体を阻害してしまいます。すると、アンジオテンシンⅡがそれ以上働けなくなってしまいます。
血圧を上げるアンジオテンシンⅡが受容体に作用できないため、それより後の「血圧上昇」に関わる反応が進行しません。その結果、血圧を下げることができるようになります。
このような作用をする薬がオルメサルタン(商品名:オルメテック)です。
オルメサルタン(商品名:オルメテック)の特徴
アンジオテンシンⅡ受容体阻害薬(ARB)の中でも、オルメサルタンは約60%が肝臓から、約40%が腎臓から排泄されます。
この時、多くの薬はCYP(シップ)と呼ばれる酵素によって代謝を受けます。ただし、オルメサルタンはCYPによる代謝を受けにくい薬です。そのため、「他の薬との相互作用が比較的少ない薬」とされています。
また、アンジオテンシンⅡ受容体には、
・AT1受容体(アンジオテンシンⅡタイプ1受容体)
・AT2受容体(アンジオテンシンⅡタイプ2受容体)
という2つの兄弟のようなものに分けられます。この中でも、高血圧治療を考える上でAT1受容体が重要になります。
AT1受容体は「血圧上昇、心臓の肥大」などに関わっています。それに対して、AT2受容体は一部の組織に存在しており、「血圧下降、心肥大の抑制」に関わっている受容体です。
つまり、「AT1受容体とAT2受容体は反対の作用を有している」と認識できれば良いです。
オルメサルタン(商品名:オルメテック)はAT1受容体に対して選択的に阻害作用を示します。その結合力も強いため、「アンジオテンシンⅡ受容体阻害薬(ARB)の中でも強力に血圧を下げることができる」と考えられています。
なお、オルメサルタンを使用した場合、プラセボ(偽薬)を投与した群と比べて副作用発生頻度に差がなかった事が臨床試験で分かっています。
このように臓器保護作用や副作用が少ないなどの特徴を有し、かつ強力に血圧を下げることのできる薬がオルメサルタン(商品名:オルメテック)です。
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