エックスフォージ(アムバロ)の作用機序:高血圧治療薬
高血圧は血管がボロボロになる病気であり、日本人の約3人に1人が発症すると言われています。高血圧では死因の上位を占める脳血管疾患(脳卒中など)や心血管疾患(心筋梗塞など)のリスクとなります。
そこで、高血圧を治療する薬としてアムバロ(商品名:エックスフォージ)が使用されます。バルサルタン・アムロジピンという2つの有効成分が合わさった合剤であり、バルサルタンはアンジオテンシンⅡ受容体阻害薬(ARB)、アムロジピンはカルシウム拮抗薬と呼ばれる種類の薬になります。
アムバロ(商品名:エックスフォージ)の作用機序
私たちの体には血圧を上げるための機構がいくつも存在します。アナフィラキシーなどによって血圧が下がるとショック状態に陥って生命の危機に晒されます。そのため、血圧を上げることは重要な機構の1つです。
ただし、常に血圧が高い状態であると血管に大きなストレスがかかってしまいます。そのために血圧を下げる必要がありますが、血圧が上がるためには「血圧を上昇させる物質」の存在があります。
特に血圧上昇に関わる物質としてアンジオテンシンⅡが知られており、この物質が作用することで高血圧が悪化します。そのため、高血圧を治療するためには、アンジオテンシンⅡの働きを阻害すれば良いことが分かります。
この時、アンジオテンシンⅡはアンジオテンシンⅡ受容体に作用することでこの効果を発揮します。つまり、アンジオテンシンⅡ受容体を阻害すれば、血圧上昇に関わるアンジオテンシンⅡが働けなくなるために血圧を下げることができます。
このように、血圧上昇に関わる物質の作用を抑えることで高血圧を治療する薬がバルサルタンです。アンジオテンシンⅡ受容体を阻害するため、バルサルタンはアンジオテンシンⅡ受容体阻害薬(ARB)と呼ばれます。
また、血圧が上がる機構として「血管が収縮する」という過程もあります。血管が縮まって細くなると、その分だけ血圧も上昇します。
そして、この血管収縮に関わる物質としてカルシウムが知られています。血管にはカルシウムが流入するための受容体が存在しており、この受容体を介してカルシウムが入ってくると血管収縮が起こります。
そこでカルシウムの流入を阻害すれば、「血管収縮の逆」として血管拡張作用を得ることができます。その結果、血圧が下がります。
このように、カルシウムの働きを阻害することで血圧を低下させる薬がアムロジピンです。カルシウムの作用に拮抗するため、アムロジピンはカルシウム拮抗薬と呼ばれます。そして、バルサルタンとアムロジピンの2つを合わせた配合錠がエックスフォージです。
アムバロ(商品名:エックスフォージ)の特徴
病気を治療するとき、1種類の薬だけでは効果不十分なことがあります。そこで、複数の薬を組み合わせることで病気の症状を抑えます。ただ薬の服用量が多くなると煩雑になるため、高血圧治療薬では2つの薬を組み合わせた配合錠として使用することがあります。
特に高血圧の治療ではアンジオテンシンⅡ受容体阻害薬(ARB)とカルシウム拮抗薬の併用が推奨されているため、エックスフォージはこの2つの薬を配合錠としています。
バルサルタンはディオバンという商品名で発売されています。血圧を下げるだけでなく、アンジオテンシンⅡ受容体阻害薬(ARB)は腎臓や心臓などに対する臓器保護作用が知られているため、高血圧治療で多用される薬の1つです。
また、アムロジピンはノルバスクやアムロジンという商品名で発売されています。カルシウム拮抗薬の中でも特に副作用が少なく、作用時間が長いことが知られています。
このような特徴をもつ薬を配合錠として組み合わせ、より強力に高血圧を治療する薬がアムバロ(商品名:エックスフォージ)です。
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