ラジレス(アリスキレン)の作用機序:高血圧治療薬
高血圧治療薬を理解する上で、レニン-アンジオテンシン系と呼ばれる経路を理解することはとても重要になります。理由は簡単であり、この機序に関わる高血圧治療薬は売上の上位を占めているからです。
1998年でのロサルタン(商品名:ニューロタン)の発売以来、10年ぶりの新しい作用機序の薬として2009年にアリスキレン(商品名:ラジレス)が発売されました。
このアリスキレンもレニン-アンジオテンシン系に関わる医薬品であり、直接的レニン阻害薬と呼ばれる種類の薬になります。
高血圧治療の概念
レニン-アンジオテンシン系での高血圧治療の概念はとても単純です。それは、「血圧を上昇させる物質の作用を阻害すれば良い」と言うだけです。
血圧上昇に関わる物質が存在するため、この物質の機能を何とかして抑制すれば良いという考えです。この考えによって、レニン-アンジオテンシン系に関わる高血圧治療薬が開発されています。
そして、ここでの血圧を上げる物質をアンジオテンシンⅡと呼びます。
アンジオテンシンⅡは血圧を上昇させる強力な作用を有しているため、この物質の働きを無効化してしまいます。すると、血圧が下がっていきます。
アリスキレン(商品名:ラジレス)の作用機序:直接的レニン阻害薬
レニン-アンジオテンシン系に作用する薬の作用機序は全て「血圧を上昇させるアンジオテンシンⅡの作用を阻害する」という事にあります。
これらの医薬品の中でも、アリスキレンはレニンを阻害することによってアンジオテンシンⅡの働きを抑制します。
レニンは酵素の一つであり、レニン-アンジオテンシン系の出発物質であるアンジオテンシノーゲンからアンジオテンシンⅠへと変化させる物質です。要は「レニン-アンジオテンシン系の最初の段階で作用する酵素」と認識すれば良いです。
そこで、このレニンを阻害します。酵素であるレニンが働けなくなると、レニン-アンジオテンシン系が最初の段階でストップしてしまいます。
レニンが働く部分よりも後の段階が進まなくなるため、アンジオテンシンⅡも作られなくなります。アンジオテンシンⅡの産生が抑制されるため、血圧上昇を抑えることができます。これによって、高血圧を治療することができます。
レニン-アンジオテンシン系の最初の段階で作用するレニンの働きを抑えます。これによって、高血圧を治療する薬がアリスキレン(商品名:ラジレス)です。
レニンの働きを阻害することにより、結果としてアンジオテンシンⅡの産生が抑制されます。これによって、血圧を下げることができるようになります。
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