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役に立つ薬の情報~専門薬学

ペルサンチン、アンギナール(ジピリダモール)の作用機序:狭心症・心不全治療薬

 

心臓は血液を全身に送り届けるために重要な臓器です。ただ、狭心症や心筋梗塞など、心臓の血管が細くなったり詰まったりすることで重篤な状態へ陥ることがあります。心臓の働きが悪化するというのは、命に直結することを意味します。

 

そこで、これら心臓疾患に関わる病気を治療するために使用される薬としてジピリダモール(商品名:ペルサンチン、アンギナール)があります。ジピリダモールは抗血小板薬と呼ばれる種類の薬になります。

 

 ジピリダモール(商品名:ペルサンチン、アンギナール)の作用機序
心臓が関わる病気は日本人の死因上位です。これら心臓疾患は血管の病気であるともいえます。血管がもろくなることで、病気が引き起こされるのです。

 

通常、動脈は弾力性があってしなやかです。ただ、年を重ねたり動脈にコレステロールが沈着したりすると、動脈は次第に固くなっていきます。これを、動脈硬化といいます。動脈硬化を発症すると、コレステロールなどが血管壁に張り付くことで血管内が細くなります。

 

心臓に血液を送る血管(冠動脈)が細くなると、心臓に十分な栄養や酸素が行きわたらなくなります。これにより、胸に激痛を生じる病気が狭心症です。

 

プラーク形成

また、コレステロールの塊であるプラークが破裂すると、血栓を生成します。このときの血栓が冠動脈を詰まらせると、そこから先に血液が流れなくなります。こうして、心臓の細胞が機能しなくなって死に至ります。これが、心筋梗塞です。

 

血小板は、血を固める作用をする物質として有名です。そこで、血小板が固まる過程を阻害すれば、これら血栓によって血管が詰まることを抑えることができます。

 

私たちの体内には、血小板の凝集を抑えたり促進したりする物質が存在します。前者にはプロスタサイクリン(PGI2)と呼ばれる物質があり、血小板の機能を抑えます。後者にはトロンボキサンA2(TXA2)があり、血小板の凝集を促します。

 

そこで、プロスタサイクリン(PGI2)の作用を強め、トロンボキサンA2(TXA2)の働きを抑えれば、血小板の凝集を抑制できることが分かります。

 

このような考えにより、抗血小板作用によって狭心症や心筋梗塞の発症を防止する薬がジピリダモール(商品名:ペルサンチン、アンギナール)です。

 

 

 ジピリダモール(商品名:ペルサンチン、アンギナール)の特徴
抗血小板作用の他にも、ジピリダモール(商品名:ペルサンチン、アンギナール)には冠動脈を広げる作用があります。血管が広がると心筋に血液が循環しやすくなるため、心疾患の症状を改善できます。

 

その他の虚血性心疾患やうっ血性心不全に対しても、ジピリダモール(商品名:ペルサンチン、アンギナール)が使用されます。

 

なお、腎臓は尿を作ることで知られていますが、通常は尿からタンパク質が検出されることはありません。ただ、腎臓に炎症が起こるなどによって機能が落ちると、尿からタンパク質が検出されるようになります。これを、尿タンパクといいます。尿タンパクを起こす病気としては、ネフローゼ症候群などが知られています。

 

尿は腎臓の糸球体と呼ばれる場所で作られます。糸球体に存在する毛細血管でろ過されることで、尿を生成するのです。このとき、糸球体の毛細血管で血液凝固が起こると、糸球体に生じている炎症が加速します。

 

そこで、ジピリダモール(商品名:ペルサンチン、アンギナール)を使用すれば、血小板の作用を抑えることによって糸球体の血管を詰まらせる過程を防止できます。そのため、高用量のジピリダモールを用いることで、尿タンパクを減少させることができます。

 

このような特徴により、「抗血小板作用」「血管拡張作用」「尿タンパク減少作用」などにより、狭心症や心筋梗塞などの心疾患だけでなく、ネフローゼ症候群などに対しても使用される薬がジピリダモール(商品名:ペルサンチン、アンギナール)です。

 

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