ユリノーム(ベンズブロマロン)の作用機序:痛風・高尿酸血症治療薬
「風が吹いただけでも痛い」として、足の関節などに激痛を伴う病気として痛風があります。この痛風は血液中の尿酸値が高いことによって起こる病気です。
血液中の尿酸値が高い状態を高尿酸血症と呼びますが、この状態によって痛風発作が引き起こされます。そこで、痛風を治療するために尿酸値を下げる薬が使用されます。
この尿酸値を下げることで高尿酸血症や痛風を改善する薬としてベンズブロマロン(商品名:ユリノーム)があります。
尿酸排泄促進薬の作用機序
尿酸は常にある一定以上が体の中に蓄えられています。毎日新しい尿酸が作られては排泄されていきます。この時、尿酸の排泄機能が弱くなっている患者さんがいます。
上手く尿酸を体の外に排泄できないため、その分だけ尿酸が体の中に蓄積されていきます。その結果、血液中の尿酸値が高くなる高尿酸血症を発症します。
尿酸の排泄が弱っているため、このような患者さんを「尿酸排泄低下型」と表現します。
尿酸の排泄が弱っているため、体の中に尿酸が蓄積していきます。それでは、薬によって尿酸の排泄を促進させるように作用すれば、尿酸値を下げられる事が分かります。
このような考えに基づいて尿酸値を下げ、痛風や高尿酸血症を治療していきます。
尿酸の再吸収
尿酸の3/4は尿として排泄され、残りは便や汗として体の外へ出ていきます。尿酸の多くは腎臓で排泄されるため、高尿酸血症を考える上で腎臓の働きはとても重要になります。
腎臓でこし取られることで尿酸が排泄されていきますが、この時に一部の尿酸は再び体の中へと再吸収されてしまいます。
尿としてろ過された尿酸のうち、実際に尿中へ排泄される量は6~10%とされています。つまり、残りの90~94%は再び体の中へと戻ってしまうのです。
そこで、「尿の中に含まれている尿酸が体の中へ再び吸収されていく過程」を阻害することができれば、より効率的に尿酸を体外へ排泄できることが分かります。
このように、尿酸の再吸収を抑制することで、尿としてたくさん尿酸を出させるように作用する薬としてベンズブロマロン(商品名:ユリノーム)があります。
ベンズブロマロン(商品名:ユリノーム)のより詳しい作用機序
腎臓で原尿が作られた後、尿は膀胱まで行きつきます。この過程の中で、より腎臓に近い場所に位置している管として近位尿細管があります。上図で近位尿細管の場所を記しています。
この近位尿細管で尿酸が体内へ再吸収される過程を阻害することで、尿酸排泄を促進させます。
近位尿細管には、尿酸を捕まえて血液中に戻す作用をするトランスポーター(担体)が存在します。つまり、尿酸の再吸収は「尿酸を積極的に血液中に移行させようとするトランスポーターが行なっている」と認識できます。
そして、この尿酸の再吸収に関わるトランスポーターの名前を尿酸トランスポーター(URAT1)と呼びます。
これらを踏まえた上で、尿酸トランスポーター(URAT1)が働くから尿酸が再吸収され、血液中の尿酸値が高くなります。そのため、尿酸トランスポーター(URAT1)を阻害してしまえば、尿酸の再吸収が抑制される事が分かります。
尿酸の再吸収が抑えられるため、結果として尿中の尿酸量が多くなります。つまり、尿酸の排泄が促進されるようになります。
このような作用によって、ベンズブロマロン(商品名:ユリノーム)は尿酸の排泄を促すように作用します。
ちなみに、尿酸排泄促進薬にはある注意点があります。尿酸排泄促進薬は尿酸排泄を促進させるため、その分だけの尿中の尿酸濃度が高くなることが分かります。そのため、尿酸排泄促進薬では尿酸の濃度が上昇することによる尿路結石が生成されやすくなります。
このような特徴があるため、尿酸排泄促進薬を使用する場合は尿アルカリ化薬を併用することで尿路結石の生成を予防します。
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