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ザラカム（ラタノプロスト・チモロール）の作用機序：緑内障治療薬

 

次第に目の見える範囲が狭くなってしまう病気として緑内障があります。緑内障は進行性の病気であり、治療せずに放置しておくと次第に視野が狭くなってしまいます。失明原因の上位が緑内障です。

 

そこで、緑内障を治療するために使用される薬としてラタノプロスト・チモロール（商品名：ザラカム）があります。2つの有効成分が配合された薬であり、ラタノプロストはプロスタグランジン製剤、チモロールはβ遮断薬と呼ばれる種類の薬です。

 

 

　ラタノプロスト・チモロール（商品名：ザラカム）の作用機序
目には神経があり、視神経を通じて情報が脳にまで到達することで、ようやく物を見ることができるようになります。しかし、視神経を損傷してしまうと、上手く見えなくなってしまいます。この状態が緑内障です。特に眼圧（目にかかる圧力）が高い高眼圧症を発症していると、視神経を損傷しやすいです。

 

ただ、眼圧が高くなく、正常眼圧であっても視神経の損傷によって緑内障を発症することがあるため、眼圧の高い低いに関わらず緑内障は治療しなければいけません。

 

緑内障を治療するとき、「眼圧を低下させる」という方法が取られます。これにより、緑内障の進行を遅らせることができます。この時に重要となる要素に眼房水（がんぼうすい）があります。

 

眼房水とは、眼球を満たしている水のことです。眼房水が多くなると、それだけ眼圧も高くなります。その結果、視神経の損傷によって緑内障を発症してしまいます。

 

これを回避するため、緑内障の治療では「眼房水の排泄を促進させる」または「眼房水の産生を抑制する」などの方法により、眼房水の量を少なくしようとします。これが眼圧の低下に繋がり、緑内障を治療することができます。このような作用をする薬がラタノプロストやチモロールです。

 

　・ラタノプロスト：プロスタグランジン製剤
私たちの体の中には「眼房水の排泄を促進させるように作用する物質」が存在します。この物質をプロスタグランジンと呼びます。溜まっている眼房水の量を少なくさせるため、結果として眼圧が下がるのです。

 

そこで、プロスタグランジンと似た構造を持つ薬であれば、より強力な眼圧低下作用を有する薬を開発できる可能性があります。

 

　

 

このような考えによって開発され、眼房水を排泄させることで眼圧を下げる薬がラタノプロストです。

 

　・チモロール：β遮断薬
詳しい作用機序は明らかになっていませんが、「眼房水の産生を抑制する」ことによって眼圧を低下させる薬がチモロールです。

 

チモロールはβ受容体を阻害するβ遮断薬です。通常、β遮断薬は高血圧や狭心症の治療薬として使用されます。ただ、点眼薬として使用するβ遮断薬は眼圧を下げる作用によって緑内障の治療薬として用いられます。

 

 

　ラタノプロスト・チモロール（商品名：ザラカム）の特徴
緑内障を治療するとき、1つの薬では効果が不十分なことがあります。この場合、作用機序の異なる2つの薬を併用することで、より強力な眼圧低下作用を得ようとします。

 

ただ、点眼薬の併用では「点眼後、5分間の時間をあけて再び点眼する」など、操作が煩雑になります。そのため、適切に服薬できなくなるケースが多々見られます。そこで、2つの有効成分を配合することで1つにし、利便性を向上させた薬がラタノプロスト・チモロール（商品名：ザラカム）です。

 

1日1回の投与により、24時間にわたって眼圧を下げることができます。52週という長期投与によっても、眼圧低下作用の減弱が見られないことが分かっています。

 

このような特徴により、2つの異なる作用によって強力に眼圧を下げ、緑内障を治療する薬がラタノプロスト・チモロール（商品名：ザラカム）です。