トラバタンズ(トラボプロスト)の作用機序:緑内障治療薬
視野が少しずつ狭くなっていき、最終的には失明にまで至ることもある病気として緑内障があります。失明原因の上位が緑内障であるため、適切な治療によって視力を守らなければいけません。
そこで、緑内障を治療するために用いられる薬としてトラボプロスト(商品名:トラバタンズ)があります。トラボプロストはプロスタグランジン製剤と呼ばれる種類の薬になります。
トラボプロスト(商品名:トラバタンズ)の作用機序
なぜ視野が狭くなるかと言うと、それは「視神経の損傷が起こるため」です。。眼圧(目にかかる圧力)が高くなると、それだけ視神経が傷害されやすくなります。眼圧が高い状態を高眼圧症と呼び、これによって緑内障を発症しやすくなります。
ただ、眼圧が高い状態だけでなく、正常な眼圧であっても緑内障を発症することがあります。そのため、眼圧の高い状態や正常な状態に関わらず、緑内障の発症に注意を向けなければいけません。
緑内障を治療するためには、「眼圧を下げる」という方法が取られます。この時に重要となる要素に眼房水(がんぼうすい)があります。
眼房水とは、眼球を満たしている液体のことです。この液体の量が多くなると、その分だけ視神経にかかる圧力が高まります。その結果、緑内障を発症します。
そこで、眼球に溜まっている眼房水の排泄を促すことができれば、眼圧を下げることで緑内障を治療できることが分かります。
眼房水の排泄促進を行う生体内の物質としては、プロスタグランジンF2α(PGF2α)が知られています。つまり、プロスタグランジンF2α(PGF2α)と同じような構造をもち、眼圧低下作用を有する薬は緑内障の治療薬になることが分かります。
このような「眼房水の排泄を促す」という考えによって開発されたプロスタグランジンF2α(PGF2α)製剤がトラボプロスト(商品名:トラバタンズ)です。眼房水の排泄口を大きくすることで、水の排泄を促すという作用機序です。
ちなみに、より詳しくいうと、プロスタグランジンF2α(PGF2α)による「眼房水の排泄」は「ぶどう膜強膜流出路を介した眼房水排泄の促進」を指します。
トラボプロスト(商品名:トラバタンズ)の特徴
1日1回の点眼により、24時間に渡って眼圧低下作用が認められている薬がトラボプロスト(商品名:トラバタンズ)です。52週間という長期投与の試験でも、効果が弱くなることなく安定した眼圧コントロールが可能であることが分かっています。
これまでの点眼薬は防腐剤としてベンザルコニウム塩化物を使用することが一般的でした。しかし、ベンザルコニウム塩化物は角膜上皮に障害を与えたり、結膜に悪影響を及ぼすなどが報告されています。
そこで、ベンザルコニウム塩化物を添加せずに点眼薬として製剤化させた薬がトラボプロスト(商品名:トラバタンズ)です。従来の点眼薬に比べ、角膜上皮細胞や結膜細胞への影響が少ないと考えられています。
このような特徴により、ベンザルコニウム塩化物(防腐剤)を使用せず、眼圧低下作用によって緑内障を治療する薬がトラボプロスト(商品名:トラバタンズ)です。
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