グラナテック(リパスジル)の作用機序:緑内障治療薬
失明はさまざまな要因によって引き起こされますが、その中でも失明原因の上位に緑内障があります。緑内障とは、眼圧(目にかかる圧力)が高くなってしまう病気のことを指します。
そこで、緑内障を治療するためにリパスジル(商品名:グラナテック)が使用されます。リパスジルはRhoキナーゼ阻害薬と呼ばれる種類の薬になります。
リパスジル(商品名:グラナテック)の作用機序
視野(目の見える範囲)が狭くなってしまう病気が緑内障です。なぜ視野が狭くなるのかというと、それは視神経が障害されてしまうからです。
物を見るためには、目が重要です。目で見た情報は、神経を通って脳に伝わります。つまり、情報を伝えるための神経に異常が起これば、目が見えなくなるということです。これには、眼圧が大きく関係しています。眼圧とは、目にかかる圧力のことを指します。
目は眼房水という水分によって満たされています。眼房水が多ければ、それだけ目は膨らみます。つまり、視神経を圧迫するようになります。要は、水風船に大量の水を入れれば膨らんで破裂するのと同じように、多くの水が眼球に存在するのは好ましくありません。
ただ、眼房水は常に作られています。そこで、眼房水を排泄するための経路が存在し、これによって眼圧を下げることができます。
このとき、眼房水を排泄する経路の1つとして、線維柱帯-シュレム管があります。眼房水はシュレム管と呼ばれる部分から排泄されます。しかし、このシュレム管にふたをするように、繊維柱帯が存在します。
そこで、繊維柱帯に働きかけることでふたを取り去ってしまえば、シュレム管からの眼房水の排泄が促進されます。これが結果として、眼圧を低下させることに繋がります。このような作用を行う薬がRhoキナーゼ阻害薬です。
緑内障では、「眼房水が大量に作られてしまう」「眼房水の排泄が滞っている」などによって、眼圧が上昇してしまいます。これによって神経に傷がつき、視野が狭くなります。そこで、眼圧を下げることができれば、緑内障による視神経の障害を改善できることが分かります。そこで、Rhoキナーゼ阻害薬を使用します。
このような考えにより、眼房水の排泄を促進させることで眼圧を下げ、緑内障を治療する薬がリパスジル(商品名:グラナテック)です。
リパスジル(商品名:グラナテック)の特徴
Rhoキナーゼは全身に存在する酵素であり、筋肉(平滑筋細胞)の収縮に関わっています。Rhoキナーゼは目にも存在しており、ここでは細胞の収縮を調節することで眼圧調節を行っていると考えられています。そこで、リパスジル(商品名:グラナテック)がこの部分に働きかけることにより、眼房水の排泄を促します。
点眼薬として利用するため、目に存在するRhoキナーゼだけを阻害することができます。そのため、副作用を最小限に抑えながら、薬の効果を得ることができます。
なお、たとえ眼圧が正常であったとしても、緑内障の症状が進行してしまうことがあります。そのため、正常眼圧でも緑内障の治療をスタートすることもあります。
既存の薬では治療効果が不十分な緑内障や高眼圧症に対して、リパスジル(商品名:グラナテック)は有効です。
このような特徴により、眼房水によって視神経が圧迫されている状態を解消し、緑内障・高眼圧症を治療する薬がリパスジル(商品名:グラナテック)です。
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