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役に立つ薬の情報~専門薬学

グラッシュビスタ(ビマトプロスト)の作用機序:まつ毛貧毛症治療薬

 

まつ毛(睫毛)はホコリなどの異物が目に入らないようにブロックする役割を担っています。また、外見的な観点からも、まつ毛の存在は重要です。

 

特に女性であれば、つけまつげをして目元をハッキリさせるなど、容姿を高めるためにまつ毛を工夫します。

 

このようなまつ毛は、加齢や慢性の疾患、または抗がん剤の投与などによって減ってくることがあります。まつ毛が少なくなるため、これをまつ毛貧毛症(睫毛貧毛症)といいます。

 

まつ毛の脱毛によって、美容などの観点から精神的な苦痛・不安に陥ってしまいます。そこで、まつ毛が減ってしまった状態を改善させるために投与される薬としてビマトプロスト(商品名:グラッシュビスタ)があります。ビマトプロストはプロスタグランジン製剤と呼ばれる種類の薬になります。

 

 

 ビマトプロスト(商品名:グラッシュビスタ)の作用機序
髪の毛や皮膚に生えている毛など、これらは一定のサイクルで発毛と脱毛を繰り返しています。これをヘアサイクル(毛周期)と呼び、ヘアサイクルはまつ毛でも同じように起こっています。

 

毛根を包み込んでいる組織として、毛包(もうほう)が知られています。そこで、毛包に働きかけてヘアサイクルに作用し、「まつ毛が成長するための期間」を長くします。すると、それだけまつ毛は「太く」「長く」「濃く」なることが分かります。

 

そこで開発された薬がビマトプロスト(商品名:グラッシュビスタ)です。ビマトプロストは毛包に作用することで、まつ毛のヘアサイクルに働きかけることが知られています。

 

 

 

このような考えにより、まつ毛を成長させるように促すことでまつ毛貧毛症を治療する薬がビマトプロスト(商品名:グラッシュビスタ)です。

 

ただし、あくまでもビマトプロスト(商品名:グラッシュビスタ)は育毛作用によって成長を促進させる薬です。毛の本数自体を増やす効果はないため、「発毛可能な毛包が残っている」ことが薬の作用を得るために必要な条件です。

 

 

 ビマトプロスト(商品名:グラッシュビスタ)の特徴
含まれている有効成分は、もともと緑内障の治療薬として開発されたものです。日本でも、ビマトプロスト(商品名:ルミガン)として緑内障の治療に使われています。

 

ただ、緑内障の治療で使用しているとき、「まつ毛が濃くなったり太くなったりする」という副作用が確認されました。そこでこの作用に着目し、美容目的に応用した薬がビマトプロスト(商品名:グラッシュビスタ)です。

 

緑内障では、直接目に投与します。ただ、ビマトプロスト(商品名:グラッシュビスタ)ではまつ毛が生えている毛包に作用すれば良いため、目に薬を投与することはしません。専用の機器(アプリケーター:薬を塗るはけ)に薬をたらし、まつ毛の生えぎわに塗布していきます。

 

このような使い方をするため、有効成分の濃度は緑内障の治療で用いられるときと同じにして臨床応用されています。薬の有効成分が目に入らないために副作用は少ないものの、少数ですが結膜充血や眼脂などが報告されています。

 

使用前には、コンタクトを外す必要があります。塗ってから15分後であれば、コンタクトをつけても問題ありません。使用する際は薬液を1滴だけアプリケータに垂らします。一度に何回塗っても効果は変わりません。

 

まつ毛の成長(長さ、豊かさ、色の濃さ)において、臨床試験では12週間(約3ヶ月)の試験で約80%の人で効果を確認できたと報告されています。

 

なお、薬による効果が表れるまでには、4ヶ月の期間が必要です。ただ、薬を塗るのを止めてしまえば元の状態に戻ります。中止後2ヶ月は効果が維持するといわれています。

 

ただ、まつ毛を伸ばすという作用から分かる通り、いわゆる病気の治療ではありません。あくまでも、美容目的での使用です。そのため、保険は適応されずに全額自費での治療になります。

 

値段は、1本5mLで2万円前後の価格になります。薬価(薬の値段)が決められていないため、医療機関によって自由に価格を設定することができる薬でもあります。

 

このような特徴により、まつ毛の成長を促進させることで容姿を改善させ、美容のために活用される薬がビマトプロスト(商品名:グラッシュビスタ)です。

 

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