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役に立つ薬の情報~専門薬学

シンレスタール、ロレルコ(プロブコール)の作用機序:脂質異常症治療薬

 

血液中の脂質量に異常が起こっている病気として、脂質異常症(高脂血症)があります。脂質は生命維持に必要な物質ですが、この量が多くなると動脈硬化を引き起こしてしまいます。

 

そこで、脂質量を正常な値へと戻すために薬を使用することがあります。この脂質異常症の治療薬としてプロブコール(商品名:シンレスタール、ロレルコ)があります。

 

プロブコールはコレステロール異化促進薬と呼ばれる種類の薬になります。

 

 

 コレステロール異化促進薬の作用機序
脂質異常症の治療薬の中でも血液中のコレステロールを下げるために瀕用される薬として、スタチン系薬と呼ばれる種類の薬があります。ただし、この薬だけではコレステロール値を上手くコントロールでない患者さんがいます。

 

そこで、スタチン系薬とは異なる作用機序の薬を用いることによって、コレステロールを適切な値に留めるようにします。このような種類の薬の1つにコレステロール異化促進薬があります。

 

コレステロールは肝臓で合成されます。この時、コレステロール合成だけでなく、肝臓は「コレステロールを排泄する役割」も担っています。

 

基本的には、肝臓で合成されたコレステロールは血液中へ移行します。しかし、全てのコレステロールが血液の中へ移行するわけではなく、胆汁酸へと変換されて排泄される場合があります。

 

つまり、コレステロールから胆汁酸へと変換された後、この胆汁酸の排泄を促進させれば、その分だけコレステロール値が下がるはずです。このように、胆汁酸の排泄を促進する薬がプロブコール(商品名:シンレスタール、ロレルコ)です。

 

 コレステロール異化促進薬の作用機序:プロブコール(商品名:シンレスタール、ロレルコ)

 

 

 プロブコール(商品名:シンレスタール、ロレルコ)の特徴
体外へのコレステロール排泄を促すプロブコールですが、臨床試験では血清総コレステロールを16~19%減らしたことが分かっています。

 

また、遺伝の関係で元々のコレステロール値の高い患者さんがいます。このような病気として家族性高コレステロール血症がありますが、この患者さんに対しては血清総コレステロールを15~18%低下させることが明らかになっています。

 

なお、プロブコールの弱点として「脂質に対して良い作用をするコレステロール値まで下げてしまう」という事があります。

 

コレステロールの中でも、動脈硬化に関与しているコレステロールをLDLコレステロールと呼びます。いわゆる悪玉コレステロールになります。脂質異常症では、このLDLコレステロールを下げることを考えます。

 

それに対して、組織に蓄積したコレステロールを肝臓へと戻す良い働きをするコレステロールとしてHDLコレステロールがあります。善玉コレステロールと呼ばれ、コレステロールの中でもHDLコレステロール値は上げなければいけません。

 

これを踏まえた上で、プロブコールはLDLコレステロールを下げる働きがあります。ただし、それと同時にHDLコレステロールの値まで下げてしまいます。

 

そのため、コレステロール異化促進薬としてプロブコール(商品名:シンレスタール、ロレルコ)を使用する場合、「HDLコレステロールの低下作用がある」ことに注意しなければいけません。

 

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