エパデール(イコサペント酸エチル)の作用機序:脂質異常症治療薬
血液中の脂質と動脈硬化には深い関係があります。この脂質に異常が起こっている病気として脂質異常症(高脂血症)があり、これによって動脈硬化が起こりやすくなってしまいます。
そこで、これら脂質異常症を治療する薬としてイコサペント酸エチル(商品名:エパデール)があります。EPA製剤とも呼ばれている薬です。
イコサペント酸エチル(商品名:エパデール)の作用機序
イコサペント酸エチルは英語の頭文字を取ってEPAと呼ばれ、この成分は魚に含まれています。サプリメントとしてEPAやDHAなどの言葉を聞いたことがあると思いますが、まさにこのEPAが薬として使われています。
EPA(イコサペント酸エチル)は動脈硬化を予防する作用が知られており、このEPAを高純度で含有した薬として利用されています。そのため、いわゆるサプリメントよりも含まれるEPAの量が多いです。EPAは魚の油として魚油(ぎょゆ)とも呼ばれます。
このEPAの作用としては、1つだけでなく多彩なメカニズムが知られています。例えば、以下のような作用があります。
・動脈の弾力性保持
・血小板凝集抑制:血液サラサラ作用
・トリグリセリド値の低下
明確な作用機序が分かっている訳ではありませんが、多彩な作用によって総合的に脂質異常症を治療できると考えられています。
口から服用したEPAは腸から吸収されます。このEPAが全身を巡るようになり、血管や各臓器に行き届きます。この時、EPAは細胞に取り込まれ、細胞機能に影響を与えるようになります。これにより、動脈の弾力性を保持させるように働くと考えられています。
また、血液が固まる過程に関与している物質として血小板があります。脂質異常症患者ではプラークが形成され、傷が付きやすくなっています。
ここから出血して血の塊である血栓が生成されると、血管を詰まらせて脳卒中や心筋梗塞などを発症してしまいます。そこで、脂質異常症患者では血栓の生成を防止するため、血液を固まりにくくするために「血小板の凝集を抑制する薬」が使用されます。
EPAには血小板凝集を抑制する作用があります。血小板の中にEPAが取り込まれて、いわゆる血液をサラサラにする効果を発揮するようになります。
これに加えて、EPAは肝臓の細胞にも取り込まれた後、「脂質の合成・分泌」を抑制することが分かっています。これらの作用により、トリグリセリド(中性脂肪)を低下させます。
これ以外にも多くの作用を持っている物質がEPAです。このように、様々な作用によって総合的に脂質異常症を改善する薬がイコサペント酸エチル(商品名:エパデール)です。
イコサペント酸エチル(商品名:エパデール)の概要
有効成分が魚油であるため、イコサペント酸エチル(商品名:エパデール)は副作用が少ない医薬品です。脂質異常症治療薬として多用されるスタチン系薬のような劇的な作用はないですが、比較的安全に使用できる薬として利用されています。
医薬品として使用されるEPAの原料はイワシから取られます。ペルーやチリなどでイワシを採取し、そこから魚油としてEPAを抽出しています。
ペルー沖で起こるエルニーニョ現象に備え、世界各地で魚油の備蓄を行うことで安定供給が図られています。
有機合成によって作られる医薬品ではなく、イコサペント酸エチル(商品名:エパデール)はいわゆる天然物由来の薬となります。そのため、医薬品の安定供給にもかなりの工夫が施されています。
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