ローコール(フルバスタチン)の作用機序:脂質異常症治療薬
血液中のコレステロール値が異常であると、コレステロールの沈着などによって動脈硬化を招いてしまいます。
動脈硬化が進行すると脳卒中や心筋梗塞などのリスクとなるため、これらコレステロール値を是正する必要があります。
もし食事療法や運動療法などでコレステロール値のコントロールが不十分な場合、医薬品としてフルバスタチン(商品名:ローコール)が使用されることがあります。フルバスタチンはスタチン系薬と呼ばれる種類の薬になります。
スタチン系薬(HMG-CoA還元酵素阻害薬)の作用機序
実は食事から摂取されるコレステロールは少なく、コレステロールの多くは肝臓で合成されます。そのため、効率よく血液中のコレステロール値を下げるためには、肝臓でのコレステロール合成を抑制することが最も効率的です。
肝臓で行われるコレステロール合成では、ある酵素がとても重要になります。この酵素の名前をHMG-CoA還元酵素と呼びます。
HMG-CoA還元酵素はコレステロール合成の途中に関わっており、この酵素が「コレステロールを合成する時の速度」を決定しています。そのため、コレステロール合成の速度に関わるHMG-CoA還元酵素を阻害できれば、コレステロール合成を大幅に抑制できることが分かります。
このように、HMG-CoA還元酵素を阻害する事でコレステロール合成を抑える薬をHMG-CoA還元酵素阻害薬と呼びます。HMG-CoA還元酵素阻害薬の別名がスタチン系薬であり、このスタチン系薬としてフルバスタチン(商品名:ローコール)があります。
フルバスタチン(商品名:ローコール)の特徴
コレステロールの中でも、血管壁などの組織にコレステロールを沈着させる物質としてLDLコレステロールがあります。いわゆる悪玉コレステロールと呼ばれ、LDLコレステロールの値は下げなければいけません。
それに対して、コレステロールの中でも組織に沈着したコレステロールを肝臓へ戻す働きをするHDLコレステロールもあります。HDLコレステロールは善玉コレステロールとも呼ばれ、この値は上げるように調節します。
なお、スタチン系薬にはその作用の強さによって「スタンダードスタチン」と「ストロングスタチン」の2つに分けることができます。
LDLコレステロール値と目標値の間が30mg/dL以下の場合、スタンダードスタチンを用います。それに対して、LDLコレステロール値と目標値が50mg/dL以上も離れている場合、最初からストロングスタチンを用います。
これらスタチン系薬の中でも、フルバスタチン(商品名:ローコール)はスタンダードスタチンに分類されます。
臨床試験でフルバスタチン(商品名:ローコール)を20mg投与から開始し、効果不十分の場合に40mgまで増量したところ、LDLコレステロール値を28.6%低下させた事が分かっています。
なお、フルバスタチンは主に肝臓で代謝・排泄されます。肝臓からは胆汁が分泌されていますが、フルバスタチンは胆汁に紛れて便と一緒に排泄されます。フルバスタチンを投与した時、約92%が糞中から、約5%が尿中から排泄されます。
フルバスタチン(商品名:ローコール)の排泄には腎臓がほとんど関与しないため、腎機能が悪化した患者さんでも悪影響を与えずにLDLコレステロール値を下げることができると考えられています。その代わり、肝臓の機能が悪化している方にフルバスタチンを投与する時は注意しなければいけません。
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