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役に立つ薬の情報~専門薬学

リピディル、トライコア(フェノフィブラート)の作用機序:脂質異常症治療薬

 

血液中の脂質が多過ぎるなどの異常が起こっている病気として脂質異常症があります。この脂質は主にコレステロールと中性脂肪の2つに分けられます。

 

この中でも、特に中性脂肪を下げるために使用される薬としてフェノフィブラート(商品名:リピディル、トライコア)があります。フェノフィブラートはフィブラート系薬と呼ばれる種類の薬になります。

 

 

 フィブラート系薬の作用機序
中性脂肪は別名でトリグリセリドと呼ばれます。トリグリセリドは英語の頭文字を取ってTGとも呼ばれます。トリグリセリドは脂質異常症における指標の1つであり、トリグリセリドの値にも注意する必要があります。

 

特に、トリグリセリド値が500mg/dL以上を持続するようになると、急性膵炎を発症する危険があります。この場合であると、早期に薬物治療を開始します。

 

トリグリセリドが血液の中を流れているとき、トリグリセリドを遊離脂肪酸へと分解する酵素が存在します。この酵素をLPL(リポ蛋白リパーゼ)と呼びます。

 

トリグリセリドから遊離脂肪酸へと変換された後、遊離脂肪酸は各組織に取り込まれます。これによって、血液中のトリグリセリド値が減少していきます。

 

 トリグリセリド(中性脂肪:TG)の分解:LPL(リポ蛋白リパーゼ)

 

これを踏まえた上で、LPL(リポ蛋白リパーゼ)を数を増やすことができれば、トリグリセリドの分解が促進されるはずです。その結果、血液中のトリグリセリド値を減少させることができます。このような作用をする薬がフィブラート系薬です。

 

また、遊離脂肪酸からトリグリセリドが合成される事もあります。フィブラート系薬は「遊離脂肪酸からトリグリセリドを生成する過程」を抑制します。これによっても、トリグリセリド値を減少させます。

 

 フィブラート系薬の作用機序

 

このように、LPL(リポ蛋白リパーゼ)などによってトリグリセリドを減らすように作用する薬がフェノフィブラート(商品名:リピディル、トライコア)です。

 

 

 フェノフィブラート(商品名:リピディル、トライコア)の特徴
冒頭で話した通り、脂質は大きく分けてコレステロールと中性脂肪(トリグリセリド:TG)の2種類があります。この中でも、トリグリセリドを下げたい時に使用する脂質異常症治療薬がフィブラート系薬になります。

 

さらに、このフィブラート系薬の中でも、フェノフィブラート(商品名:リピディル、トライコア)はトリグリセリドを低下させる作用以外にも、「尿酸値を低下させる作用」が知られています。そのため、高尿酸血症を合併している患者さんに対して、特にお勧めできる薬剤です。

 

ただし、肝機能異常を起こしやすい薬であるため、肝障害のある患者さんには投与を避ける必要があります。

 

なお、より詳しい作用機序を説明すると、フェノフィブラートはPPARαと呼ばれる受容体を刺激します。この受容体は「新しくタンパク質を作る作用」に関与しています。

 

酵素もタンパク質で構成されています。つまり、PPARαが活性化することにより、「トリグリセリドの分解に関わる酵素としてLPL(リポ蛋白リパーゼ)などのタンパク質が新しく作られる」という事になります。その結果、血液中のトリグリセリド値を減少させることが可能になります。

 

このような特徴を持つ薬がフェノフィブラート(商品名:リピディル、トライコア)です。

 

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