ベザトールSR(ベザフィブラート)の作用機序:脂質異常症治療薬
血液中の脂質に異常が起こっている病気として脂質異常症(高脂血症)があります。「血液中の脂質」は動脈硬化を引き起こす重要な因子であるため、適切な値に留める必要があります。
この時の脂質としては、主に「コレステロール」と「トリグリセリド」の2つに分けられます。トリグリセリドは中性脂肪と呼ばれることがあれば、TGと表記される事もあります。
トリグリセリド(中性脂肪:TG)を下げるために使用される薬としてベザフィブラート(商品名:ベザトールSR)があります。ベザフィブラートはフィブラート系薬と呼ばれる種類の薬になります。
フィブラート系薬の作用機序
血液中のトリグリセリドを下げる機序としては、ある酵素の働きを理解する必要があります。この酵素の名前をLPL(リポ蛋白リパーゼ)と呼びます。
LPL(リポ蛋白リパーゼ)が何をするかと言うと、トリグリセリドに作用して遊離脂肪酸を生成します。遊離脂肪酸が生成されると、各細胞に取り込まれるようになります。
これによって、トリグリセリドが血液中から消失していきます。
このLPLの数を増やせば血液中に存在するトリグリセリドの分解が進み、遊離脂肪酸が作られていきます。その結果、トリグリセリドの値を下げることができます。
また、トリグリセリドの合成を抑えることでも血液中に存在するトリグリセリドの濃度を抑えることができます。このような働きをする薬がベザフィブラート(商品名:ベザトールSR)です。
このように、ベザフィブラートは血液中に存在するトリグリセリドの分解を促進したり、トリグリセリドの合成を抑制したりする薬です。
ベザフィブラート(商品名:ベザトールSR)の特徴
前述の通り、フィブラート系薬は主にトリグリセリド(中性脂肪:TG)を下げるために利用されます。それに対して、コレステロール値を是正するときに使用される薬として、スタチン系薬と呼ばれる種類の医薬品があります。
脂質には「コレステロール」と「トリグリセリド」の2種類があるため、どちらの脂質をコントロールしたいかによって使用する薬が変わってきます。
血液中のコレステロール値は正常な範囲であっても、トリグリセリドが異常に高い値を示しているのであればフィブラート系薬が使用されます。
ベザフィブラートの臨床試験では、コレステロールの中でも悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールを12~21%低下させることが分かっています。それに対して、トリグリセリドの低下作用は30~57%でした。
このような結果からも、ベザフィブラート(商品名:ベザトールSR)はトリグリセリド(中性脂肪:TG)の低下を目的として投与されることが理解できます。
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