ラキソベロン(ピコスルファート)の作用機序:便秘症治療薬
日々の生活を行う中でも、排泄は重要な役割の1つです。食事として食べたものは消化され、そこに含まれる栄養が腸から吸収された後は外に出さなければいけません。
ただ、人によっては便がなかなか出てこないことがあります。これが便秘です。
そこで、便秘を改善するために使用される薬としてピコスルファート(商品名:ラキソベロン)があります。ピコスルファートは大腸刺激性下剤と呼ばれる種類の薬になります。
ピコスルファート(商品名:ラキソベロン)の作用機序
腸の中でも、大腸は水分の吸収に関わる器官です。水分を吸い取るため、大腸への滞在時間が長くなるほど、腸内の物質は水分が抜けていきます。
便が出にくい状態が便秘であるため、便秘では腸内に便が長くとどまるようになります。その結果、便が固く小さくなります。便の大きさが小さくなると、これが動くことによる腸への刺激が少なくなります。その結果、さらに便秘が悪化するという悪循環に陥ります。これを改善するため、薬を使用します。
腸の動きが悪いと、便を肛門側まで押し出すことができません。そのため、便の水分が抜けて便秘の悪化に繋がります。
逆に言えば、大腸の動きが活発であれば、便の排泄もスムーズになることが分かります。これに着目し、大腸刺激による腸運動(蠕動運動)を活性化させることで便秘を治療します。
腸に刺激を与える物質の中でも、ピコスルファートは「胃や小腸でほとんど作用しない」という性質があります。この物質が大腸まで到達すると、腸内細菌によって分解されて「大腸を刺激する物質」へと変換されます。「大腸を刺激する物質」がきっかけとなり、大腸の動きが活発になります。
大腸が動くと、その中に含まれている内容物も一緒に動きます。これが便の排泄に繋がるため、便秘症状を解消できます。
このような作用機序により、大腸を動かすことで便を積極的に外へ排泄しようとする薬がピコスルファート(商品名:ラキソベロン)です。
ピコスルファート(商品名:ラキソベロン)の特徴
大腸を刺激するだけでなく、ピコスルファート(商品名:ラキソベロン)には水分の吸収を阻害する作用もあります。
便に含まれる水分が体内に吸収されると、便が固く小さくなるために外へ排泄されにくくなることは既に述べました。水分吸収を阻害すると便に水分が保たれるようになるため、便容量が大きくなって腸に刺激を与えやすくなります。これが、結果として便秘を解消させます。
ピコスルファート(商品名:ラキソベロン)としては錠剤などがありますが、主に内容液として利用されます。服用する液量により、効果の強さを調節しやすい薬剤です。薬の量の調節が簡単なため、小児であっても適切な量を服用させることができます。過量投与を防ぎ、自然な排便を促します。
薬の効果が表れる時間は早く、その多くは服用して7~12時間後に排便がみられます。
腸を刺激することで排便を促す薬は「耐性」を生じることが多いです。薬を長期間使用すると、腸が刺激に対して「慣れ」を起こすのです。一方、大腸に刺激を与えて便秘を治療する薬の中でも、ピコスルファート(商品名:ラキソベロン)は耐性を生じにくい薬であると考えられています。
なお、腸内をきれいにする目的で手術前や大腸検査(X線・内視鏡)の前にピコスルファート(商品名:ラキソベロン)を服用し、腸内にある内容物を排泄させることもあります。
このような特徴により、素早く排便効果を示し、刺激性下剤の中でも「耐性を生じにくい薬」として利用される薬がピコスルファート(商品名:ラキソベロン)です。
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