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タガメット(シメチジン)の作用機序:消化性潰瘍治療薬

 

消化性潰瘍(胃潰瘍や十二指腸潰瘍)を発症すると、胸や腹部に痛みが起こるようになります。これには胃酸分泌が大きく関わっており、胃酸がたくさん存在すると消化性潰瘍に陥ってしまいます。

 

そこで、消化性潰瘍を治療するために開発された薬としてシメチジン(商品名:タガメット)があります。シメチジンはH2ブロッカーと呼ばれる種類の薬になります。

 

 

 シメチジン(商品名:タガメット)の作用機序
食物を消化するために胃酸が分泌されますが、胃酸の正体は塩酸です。つまり、強力な酸です。胃酸の量が多くなると食物だけでなく、胃や十二指腸まで溶かしてしまいます。その結果、潰瘍を引き起こすようになります。

 

そのため、胃酸分泌をストップさせることができれば、潰瘍を治療できることが分かります。胃酸を止めることによって胃や十二指腸へのダメージを減らすのです。

 

この時の胃酸分泌にはシグナルが必要であり、「胃酸を分泌せよ!」というシグナルが胃の壁細胞にたどり着くことが合図となって胃酸が出されます。この時のシグナルとしては、アセチルコリンやヒスタミン、ガストリンなどが知られています。

 

この中でも、特に重要な役割を行っているシグナルとしてヒスタミンがあります。ヒスタミンが作用することで大量の胃酸が分泌されるようになります。

 

ヒスタミンが作用する受容体として、ヒスタミンH2受容体があります。H2受容体を阻害すればヒスタミンが受容体に作用できなくなるため、結果として胃酸分泌を抑えることができるようになります。これにより、消化性潰瘍を治療することができます。

 

 H2ブロッカーの作用機序

 

このように、H2受容体を阻害することで胃酸分泌を抑え、消化性潰瘍を治療する薬としてシメチジン(商品名:タガメット)があります。

 

 

 シメチジン(商品名:タガメット)の特徴
H2受容体阻害薬の中でも、最初に開発された薬がシメチジン(商品名:タガメット)です。これにより、胃潰瘍による手術が激減しました。臨床試験では、シメチジン200mgを投与することで投与後1~3時間の2時間の胃酸分泌を91.2%減少させることが分かっています。

 

ただし、シメチジンは肝臓の代謝酵素を阻害する事で「他の薬の作用を増強させる」という性質をもっています。薬の多くはCYPと呼ばれる酵素によって代謝されますが、シメチジンは代謝酵素であるCYPの働きを抑えてしまいます。

 

そのため、「多量投与によって中毒を引き起こしてしまう薬」を使用する場合、シメチジンとの相互作用に注意しなければいけません。

 

なお、シメチジンは消化性潰瘍の治療だけでなく、がんの治療に使用される事もあります。ヒスタミンは免疫細胞に存在するH2受容体に作用し、免疫機能を弱めます。H2受容体を阻害するとこの逆の働きを得ることができるため、シメチジンは免疫機能を強めるように働きかけます。

 

このような考えによってがんに使用されるシメチジンですが、同じようにヘルペスウイルスが原因となって発症する帯状疱疹に対しても使用されることがあります。免疫を強める作用により、帯状疱疹を治療するのです。

 

ただ不思議な事に、同じH2受容体阻害薬であるラニチジン(商品名:ザンタック)やファモチジン(商品名:ガスター)では、免疫細胞に働きかける作用が認められません。がん抑制作用や帯状疱疹の治療はあくまでもシメチジン特有の作用になります。

 

このような特徴を持ったH2受容体阻害薬がシメチジン(商品名:タガメット)です。

 

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