ネシーナ(アログリプチン)の作用機序:糖尿病治療薬
2型糖尿病の治療薬としてDPP-4阻害薬と呼ばれる種類の薬があります。
単剤投与で低血糖を起こしにくい医薬品であり、インスリン分泌を促すことで血糖値を改善します。
このDPP-4阻害薬の中でも国内3番目に発売された医薬品としてアログリプチン(商品名:ネシーナ)があります。
アログリプチンの作用機序
血糖値を下げる唯一のホルモンとしてインスリンがあります。そのため、このインスリンの作用を強めることができれば、血糖値を下げることで糖尿病を治療できることが分かります。
このインスリンの作用を強めるホルモンとして、インクレチンと呼ばれる物質があります。インクレチンの効果を増強させることができれば、間接的にインスリンの作用を強めて血糖値を下げることができます。
そして、インクレチンはDPP-4(ジペプチジルペプチダーゼ-4)という酵素によって分解されます。という酵素によって分解されます。そのため、このDPP-4を阻害することができれば、インクレチンの濃度を高めることができます。その結果、糖尿病を治療できるようになります。
このように、DPP-4阻害作用によってインスリン分泌を増やし、血糖値を低下させる医薬品としてアログリプチン(商品名:ネシーナ)があります。
DPP-4阻害薬の追加投与
病気の治療を考えるとき、1つの薬だけでなくて他の種類の薬と併用するケースは多いです。糖尿病治療薬にも多くの種類があり、作用機序が異なる数種類の薬を同時に服用することで病気を治療していきます。
糖尿病患者に対してDPP-4阻害薬だけを投与する場合でも、血糖値を下げる効果は強いです。そこからさらに他の作用機序を有する医薬品と併用していき、上手く血糖値をコントロールできるように調節していくのです。
糖尿病治療薬としては、スルホニルウレア薬(SU剤)やビグアナイド系薬(BG薬)、α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)、チアゾリジン系薬(TZD薬)と多くの種類があります。
患者さんの症状を見極めながらこれらの薬を組み合わせていきますが、DPP-4阻害薬と併用することでより効率的に血糖値を下げることが臨床試験で分かっています。
アログリプチン(商品名:ネシーナ)の特徴
アログリプチンは通常25mgで使用する薬ですが、その半分量である12.5mgや1/4の量である6.25mgの製剤が発売されています。
アログリプチンは主に腎臓から排泄されます。そのため、腎臓の機能が弱くなっている患者さんでは薬がなかなか体外へ排泄されません。通常の量を投与すると、薬の作用が強く出すぎるために副作用が起こりやすくなります。
そこで、予め25mgよりも低い用量の薬を発売しておきます。このように、腎臓の機能が弱くなった患者さんにも薬の量を減らすことで投与可能にした薬がアログリプチン(商品名:ネシーナ)です。
アログリプチンは1日に1錠を1回服用する薬です。健康な人に薬を投与したところ、24時間に渡ってインクレチン分解に関わるDPP-4を80%以上阻害することが臨床試験で分かっています。
そのため、アログリプチンは持続的にDPP-4を阻害することによって食事後のインクレチン濃度を増やし、糖尿病を治療することができます。
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