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ジェブタナ（カバジタキセル）の作用機序：抗がん剤

 

日本人の死因第一位にがんがあります。がんによって多くの人が亡くなりますが、その治療は難しいことで知られています。がん治療では、手術や放射線、化学療法（薬を用いた治療）などが行われます。

 

そこで、がんに対抗するために使用される薬としてカバジタキセル（商品名：ジェブタナ）があります。カバジタキセルは微小管脱重合阻害薬と呼ばれる種類の薬になります。

 

　カバジタキセル（商品名：ジェブタナ）の作用機序
古典的な抗がん剤の作用は、「細胞増殖の速度が速い細胞をターゲットにする」というものです。これは、がん細胞が無秩序な増殖を繰り返すからです。

 

通常、私たちの細胞は勝手に増殖しません。好き勝手に細胞が増えるということは、臓器の肥大化に繋がります。臓器が正常に働けなくなってしまうため、肺や心臓、肝臓などを含めて、ある一定の大きさになった後は細胞増殖が止まります。

 

しかし、がん細胞はそのようなことを考えません。自分が増えることだけを考えているため、どんどん増殖していきます。周りの細胞から栄養を吸い上げ、浸潤・転移を行うことで拡大していきます。正常細胞とがん細胞では、このように「細胞の増殖スピード」が異なるため、この違いを利用して薬を作用させます。

 

細胞分裂を行うためには、1つの細胞が2つに分裂しなければいけません。このとき、全ての生命情報が刻まれているDNAを複製します。DNAを2倍に増やした後、今度はそれぞれ2つに分けなければいけません。この過程で重要な役割を果たす物質として、微小管が知られています。

 

細胞内で微小管が寄せ集まると、ようやく複製したDNAをそれぞれ2つに分けることができるようになります。微小管が集まることを、専門用語で「重合する」といいます。

 

ただ、今度は寄せ集まった微小管は元のバラバラの状態に戻らなければいけません。この過程は、重合状態を脱するので「脱重合」と呼ばれます。この脱重合の過程を阻害すれば、細胞分裂の最後の過程は完了しなくなります。その結果、細胞分裂が抑制されます。

 

　

 

このような考えにより、微小管がバラバラになる過程を阻害することで、がん細胞の増殖を抑える薬がカバジタキセル（商品名：ジェブタナ）です。微小管の脱重合を阻害するので、微小管脱重合阻害薬と呼ばれます。

 

 

　カバジタキセル（商品名：ジェブタナ）の特徴
同じような作用機序によってがん細胞を退治する薬として、ドセタキセル（商品名：タキソテール）が知られています。ドセタキセルでも治療が困難な場合、カバジタキセル（商品名：ジェブタナ）の使用が検討されます。

 

前立腺がんの患者さんなどに使用される薬がカバジタキセル（商品名：ジェブタナ）です。前立腺がんの中でも、カバジタキセルは去勢抵抗性前立腺がんに適応されます。「去勢抵抗性」とは、簡単に考えるとホルモン治療でも治療効果が乏しいことを指します。

 

前立腺は男性だけに存在する器官であり、生殖器に分類されます。生殖器であるため、男性ホルモンの作用によって前立腺がんは悪化していきます。そこで、男性ホルモンの作用を抑えることで前立腺がんを治療します。このようなホルモン療法を行ったとしても、治療が難しい場合が去勢抵抗性前立腺がんです。

 

なお、抗がん剤である以上は副作用に注意する必要があります。主な副作用としては、白血球の減少、疲労、悪心・嘔吐、下痢、食欲減退、貧血、味覚異常などが知られています。

 

このような特徴により、ホルモン療法を施しても効果が乏しい前立腺がんなどの治療に用いられる抗がん剤がカバジタキセル（商品名：ジェブタナ）です。