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ブレオ（ブレオマイシン）の作用機序：抗がん剤

 

がんは重篤な疾患の1つであり、完治を目指すのであれば早期発見や手術などを行う必要があります。また、がんの再発を防止したり、症状の増悪を防ぐために薬を用いた化学療法が行われます。

 

そこで、がんを治療するために用いられる薬としてブレオマイシン（商品名：ブレオ）があります。ブレオマイシンは抗がん性抗生物質と呼ばれる種類の薬になります。

 

　ブレオマイシン（商品名：ブレオ）の作用機序
抗生物質と言えば、「細菌感染症に対抗するために使用されるもの」を思い浮かべる人が大半だと思います。

 

そもそも抗生物質とは、「微生物が作り出した細菌を殺すための物質」を指します。この物質を抽出するのです。細菌感染症に罹ったときに抗生物質を投与すると、感染症から立ち直れるようになります。

 

ただ、微生物が作り出す物質の中には、ヒトの細胞に対して毒性を示すものもあります。抗生物質が細菌に対して毒性を示すのと同じように、がん細胞のような増殖速度の速い「ヒトの細胞」に対して作用する物質もあるということです。

 

　

 

つまり、微生物が作り出す「抗がん作用を有する物質」を抽出し、応用しようと考えたわけです。このような薬が抗がん性抗生物質です。抗がん性抗生物質は、抗腫瘍性抗生物質と呼ばれることもあります。このような考えによって創出された薬がブレオマイシン（商品名：ブレオ）です。

 

がん細胞は正常細胞に比べて、増殖速度が速いです。そのため、細胞分裂を阻害する薬は抗がん作用を示すようになります。

 

細胞分裂を行うためには、DNAの複製をしなければいけません。つまり、DNAの合成を阻害すれば、細胞の増殖を抑制できます。ブレオマイシン（商品名：ブレオ）はDNAの鎖を切断したり、DNAの合成を抑制したりする作用が知られています。

 

このようなブレオマイシン（商品名：ブレオ）の作用によってDNA合成が抑制されるため、細胞毒性によってがん細胞を細胞死へと導くことができます。

 

 

　ブレオマイシン（商品名：ブレオ）の特徴
福岡県の土壌から分離された放線菌を培養し、そこから発見された物質がブレオマイシン（商品名：ブレオ）です。ブレオマイシンは優れた抗がん作用を有する薬として応用されるようになりました。

 

注射薬として利用され、凍結乾燥の製剤であるために安定性が良いという特徴があります。また、賦形剤などの添加物が混合されてなく、主薬のみとなっています。

 

ブレオマイシン（商品名：ブレオ）は皮膚がん、頭頸部がん、肺がん、食道がん、悪性リンパ腫、子宮頸がん、神経膠腫、甲状腺がん、胚細胞腫瘍など、幅広いがんに対して使用されます。

 

ほとんどの患者さんで副作用が確認され、主な副作用としては、皮膚の硬化・色素沈着、発熱・悪寒、脱毛、食欲不振・体重減少、全身倦怠感、悪心・嘔吐、口内炎などが知られています。重篤な副作用には間質性肺炎などの肺障害があります。

 

このような特徴により、抗がん作用を示す抗生物質（微生物が生み出す物質）によってがんを治療する薬がブレオマイシン（商品名：ブレオ）です。