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ユーエフティ（テガフール、ウラシル：UFT）の作用機序：抗がん剤

 

がんは治療の難しい病気であり、がんによって多くの方が亡くなります。高齢になるほどがんを発症しやすくなり、その治療法としては手術や放射線治療、そして薬を用いた化学療法が知られています。

 

そこで、がんを治療するために用いられる薬としてテガフール、ウラシル（商品名：ユーエフティ、UFT）が知られています。2つの有効成分を配合させた薬であり、代謝拮抗薬と呼ばれる種類の薬になります。フッ化ピリミジン系抗がん剤といわれることもあります。

 

　テガフール、ウラシル（商品名：ユーエフティ、UFT）の作用機序
正常細胞とがん細胞を比べたとき、「細胞分裂の速さ」という大きな違いがあります。正常細胞はほとんど細胞分裂による増殖を行いませんが、がん細胞は無秩序な増殖を繰り返します。抗がん剤は、この違いを利用します。

 

細胞分裂を行うとき、DNAの複製を行わなければなりません。DNA合成がストップしてしまえば、細胞分裂が行えなくなって細胞死が引き起こされます。そこで、抗がん剤はDNA合成を阻害することで細胞毒性を示し、がん細胞に細胞死を起こさせます。

 

古くから使用されている抗がん剤に「5-フルオロウラシル（5-FU）」と呼ばれる物質があります。この物質を投与すると、DNAの原料と間違えられて取り込まれます。

 

ただ、本物の原料ではないため、DNA合成が阻害されてしまいます。これが、5-フルオロウラシルが抗がん作用を示す簡単なメカニズムです。

 

ただ、5-フルオロウラシルは数十分という短い時間で体内から消失してしまいます。言い換えれば、作用時間が短いということです。そこで、薬を投与した後に体内で代謝され、5-フルオロウラシルに変換される薬が開発されました。この薬をテガフールと呼びます。

 

　

 

体内で代謝されることによって薬として作用を示す医薬品をプロドラッグといいます。テガフールはプロドラッグであり、体内で徐々に5-フルオロウラシルへと変換されるため、長時間にわたって抗がん作用を示すことができます。

 

また、ウラシルはDNAの原料として利用される物質であり、5-フルオロウラシルと構造がとてもよく似ています。5-フルオロウラシルはすぐに代謝されてしまうことは先に述べた通りですが、ウラシルを投与すると、代謝酵素は5-フルオロウラシルの代わりにウラシルを認識するようになります。

 

これが5-フルオロウラシルの分解抑制に繋がり、抗がん作用を強めることができます。ウラシル自体には抗がん作用はないものの、5-フルオロウラシルの作用を増強するという働きがあるのです。

 

このような考えにより、2つの有効成分によってがんに対抗する薬がテガフール、ウラシル（商品名：ユーエフティ、UFT）です。

 

 

　テガフール、ウラシル（商品名：ユーエフティ、UFT）の特徴
ウラシルは5-フルオロウラシルの作用を強めるます。ただ、その配合比によっては副作用まで強めてしまいます。そこで基礎実験を行った結果、「テガフール：ウラシル＝1：4」の割合が最適であると報告され、この配合比で薬が使用されています。

 

2つの有効成分で腫瘍内の5-フルオロウラシルの濃度を高め、その作用を維持させることができるようになります。併用することで、テガフールやウラシルの単独投与では得られない効果を得ることが可能なのです。

 

頭頸部がん、胃がん、大腸がん（結腸・直腸がん）、肝臓がん、胆のう・胆管がん、膵臓がん、肺がん、乳がん、膀胱がん、前立腺がん、子宮頸がんと幅広いがんに対してテガフール、ウラシル（商品名：ユーエフティ、UFT）が使用されます。

 

なお、細胞毒性のある薬であり、主な副作用としては下痢、倦怠感、悪心・嘔吐、腹痛などが知られています。

 

このような特徴により、2つの有効成分によって強い抗がん作用を示す薬がテガフール、ウラシル（商品名：ユーエフティ、UFT）です。