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役に立つ薬の情報~専門薬学

スオード(プルリフロキサシン)の作用機序:抗菌薬

 

肺炎は日本人の死因上位であり、細菌によって起こる病気です。現在の日本でも、細菌感染症は大きな問題となります。特に高齢者などの免疫機能が弱っている方であるほど、感染症に注意が必要です。

 

そこで、感染症を治療するために使用される薬としてプルリフロキサシン(商品名:スオード)があります。プルリフロキサシンはニューキノロン系抗菌薬と呼ばれる種類の薬になります。

 

 プルリフロキサシン(商品名:スオード)の作用機序
肺炎などの感染症は病原菌が異常増殖することによって起こります。この状態を治すには、病気を引き起こしている細菌を排除すれば良いことが分かります。

 

細菌を退治するためには、私たちの免疫が重要です。ただ、免疫の働きだけでは十分に細菌へ対抗できないケースがあります。この場合、抗菌薬を使用することで感染症を治療します。

 

抗菌薬が細菌を殺すことから分かる通り、細菌にとって抗菌薬は毒です。ただ、ヒト対しては大きな毒性はありません。つまり、抗菌薬は「ヒトに作用しないが細菌には毒性を与える」という作用があるのです。これは、ヒトと細菌の違いを利用します。

 

細菌が増殖を行うとき、DNAの合成が必要です。これは、DNAにすべての生命情報が刻まれているためです。細菌にはDNA合成に必須となる酵素が存在し、この酵素をDNAジャイレースといいます。

 

DNAは二重らせん構造をとっており、大きなねじれがあります。そのままの状態では、DNAに書かれている情報を読み取ることができません。そこで、DNAジャイレースがDNAの二本鎖を切断します。すると、ねじれている状態が解かれ、ようやくDNAに書かれている情報を読み取れるようになります。

 

 オゼックス、トスキサシン(トスフロキサシン)の作用機序:抗菌薬

 

DNAジャイレースを阻害すれば、細菌はDNAの複製ができません。これによって細菌へ毒性を与え、細菌を死滅させます。一方、ヒトにはDNAジャイレースが存在しないため、細菌のような大きな毒性はありません。

 

このような考えにより、細菌に存在する特徴的な酵素を阻害することで感染症を治療する薬がプルリフロキサシン(商品名:スオード)です。

 

 

 プルリフロキサシン(商品名:スオード)の特徴
DNAジャイレースに作用することで抗菌作用を示す薬がニューキノロン系抗菌薬です。元々はキノロン系抗菌薬と呼ばれていましたが、これをさらに改良した薬がニューキノロン系抗菌薬です。

 

臨床試験では、呼吸器感染症や尿路感染症、感染性腸炎などの感染症に対して約9割もの有効率を示したことが分かっています。胆のうや胆汁への移行性も良好であり、胆嚢炎や胆管炎に対しても優れた効果を示します。

 

幅広い細菌に対して効果の高い薬であり、専門用語では「グラム陽性菌およびグラム陰性菌に有効である」と表現されます。もともと抗菌薬が効きにくい細菌として緑膿菌が有名ですが、プルリフロキサシン(商品名:スオード)は緑膿菌に対しても効果を示します。

 

なお、抗菌薬には「細菌を殺す物質」と「細菌増殖を抑える物質」の2つがあります。プルリフロキサシン(商品名:スオード)は前者の細菌を死滅させることで「殺菌的」に作用する抗菌薬です。

 

このような特徴により、抗菌薬が効きにくい緑膿菌に対しても優れた効果を示す薬がプルリフロキサシン(商品名:スオード)です。

 

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