スミスリン(フェノトリン)の作用機序:疥癬治療薬
皮膚にダニが感染することで、強いかゆみを生じる病気が疥癬(かいせん)です。疥癬を発症すると、皮膚に赤いボツボツを生じるようになります。
そこで、疥癬を治療するために使用される薬としてフェノトリン(商品名:スミスリン)があります。フェノトリンは駆虫薬と呼ばれる種類の薬になります。
フェノトリン(商品名:スミスリン)の作用機序
疥癬は直接命に関わる疾患ではありません。ただ、かゆみによって日々の生活に支障をきたすようになります。症状が重くなると、角化型疥癬と呼ばれる感染力の強い疥癬を生じることもあるため、早目の治療が必要になります。
疥癬はヒゼンダニというダニによって起こります。つまり、疥癬を治療するためには、ヒゼンダニを排除すれば良いことが分かります。
私たちの身の回りで売られている商品をみると、殺虫剤が広く活用されています。例えば、夏になると出回る蚊取り線香は特に有名です。これらの殺虫剤は、昆虫や爬虫類の神経系に作用することが知られています。
体を動かすためには、神経が正常に働かなければいけません。私たちが腕や足を動かすときであっても、神経によって脳からの命令を伝えているのです。ただ、神経の働きが阻害されれば、命令が伝わらなくなって動けなくなります。この作用をダニに与えると、神経毒によって死滅します。
そこで、この殺虫作用を有する成分をローション製剤にすれば、疥癬を引き起こしているヒゼンダニを効率よく排除できることが分かります。
このような考えにより、疥癬の原因となっている寄生虫に毒性を与え、病気を治療する薬がフェノトリン(商品名:スミスリン)です。フェノトリンは殺虫剤の一種なのです。
フェノトリン(商品名:スミスリン)の特徴
成人の場合、頭部にヒゼンダニは生息していないと考えられています。そのため、実際にフェノトリン(商品名:スミスリン)を使用する場合、くびより下の部分に塗り残しなく塗布します。塗布後、12時間経過した後にシャワーなどによって薬剤を洗い流します。
疥癬の治療をするとき、1回の塗布では不十分です。これは、ヒゼンダニの卵に対してフェノトリン(商品名:スミスリン)の効果が不明だからです。フェノトリンは孵化後のヒゼンダニに対して効果を有するものの、卵の状態では生き残る可能性があります。
ヒゼンダニの卵は3~5日で孵化するといわれています。そこで、フェノトリン(商品名:スミスリン)を塗布した後、1週間後に再び薬を塗る必要があります。こうして、孵化後の卵まで含めて確実にダニを排除します。2回目以降は、症状を確認しながら1週間おきに塗布してきます。
なお、ドラッグストアなどではシラミを治療するために、フェノトリン(商品名:スミスリン)が発売されています。これを、疥癬の治療薬として医療用に応用したということです。
シラミを治療するときは頭皮につけますが、前述の通り疥癬の場合は頭部以外の全身に塗る必要があります。
このような特徴により、体に存在するダニを排除するため、複数回使用することで駆虫していく薬がフェノトリン(商品名:スミスリン)です。
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