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バクシダール（ノルフロキサシン）の作用機序：抗菌薬

 

細菌によって起こる病気としては、肺炎や敗血症などが知られています。いずれも重篤な感染症であり、放置しておくと死に至る可能性が高いです。早急に治療しなければいけません。

 

そこで、これら感染症を治療するために使用される薬としてノルフロキサシン（商品名：バクシダール）があります。ノルフロキサシンはニューキノロン系抗菌薬と呼ばれる種類の薬になります。

 

　ノルフロキサシン（商品名：バクシダール）の作用機序
細菌やウイルスによって病気に陥ることがあります。ただ、健常な状態であれば何もしなくても感染症から立ち直ることができます。これは、私たちの体内に免疫が備わっているからです。免疫によって病原微生物が退治されると、元の状態に戻ります。

 

しかし、お年寄りなど、中には免疫機能が弱っている方がいます。このような人は感染症に罹りやすく、一度発症すると自分の力だけで健康な状態に立ち直ることは難しいです。そこで、抗菌薬を使用します。

 

抗菌薬の作用は「細菌を殺す」」ことです。つまり、細菌にとって抗菌薬は毒であることが分かります。ただ、ヒトにも同様に毒性を示すのは好ましくありません。そこで、「細菌に対しては毒であるものの、ヒトにとっては毒ではない物質」を投与します。

 

細菌とヒトの違いを理解すれば、このような毒性の選択が可能になります。

 

細菌が増殖を行うと、感染症を引き起こすようになります。細菌増殖に欠かせない要素として、DNAがあります。DNAにはすべての生命情報が刻まれているため、DNAの複製が細菌の増殖に不可欠です。

 

DNAは二重らせん構造をしていることが有名です。ただ、このようにねじれている状態のままでは、DNAに書かれている情報を読み取って複製することはできません。そこで、二本鎖のDNAを切断し、ねじれを解消させます。これを行う酵素として、DNAジャイレースがあります。

 

DNAジャイレースを阻害すれば、細菌はDNAを複製できません。結果として細菌増殖が抑えられ、死滅していきます。

 

　

 

一方、ヒトの細胞にはDNAジャイレースが存在しません。DNAジャイレースという「細菌に特徴的な機構」をターゲットとすることにより、ヒトに毒性を示さず細菌だけに毒性を与えるのです。

 

このような考えにより、細菌のDNA合成に不可欠な酵素を阻害することで感染症を治療する薬がノルフロキサシン（商品名：バクシダール）です。

 

 

　ノルフロキサシン（商品名：バクシダール）の特徴
抗菌薬はその作用によって、殺菌的と静菌的に分かれます。前者は細菌を死滅させ、後者は細菌の増殖を抑えます。その中でも、ノルフロキサシン（商品名：バクシダール）は殺菌的に作用することで感染症に対抗します。

 

組織への移行性に優れた薬であり、各組織で感染した臓器に巣食っている細菌を退治します。呼吸器、尿路、皮膚、胆道、腸管、耳鼻科領域の感染症に対して、優れた効果を有することが臨床的に分かっています。

 

なお、ノルフロキサシン（商品名：バクシダール）を投与したあと、その大部分は代謝されていない状態（未変化体）のまま尿や胆汁と一緒に排泄されます。

 

錠剤などの飲み薬だけでなく、点眼薬としても利用されます。結膜炎や角膜炎など、細菌感染症によって引き起こされる症状を治療するためにノルフロキサシン（商品名：バクシダール）は有効です。小児に対しても使用することができます。

 

このような特徴により、さまざまな感染症の治療に幅広く利用される薬がノルフロキサシン（商品名：バクシダール）です。